科学技術振興機構(JST)は2日、あらゆる立場の人が対話や体験を通じ、科学技術と社会をつなぐ国内最大級のイベント「サイエンスアゴラ2025」の概要を発表した。10月25~26日に東京・お台場のテレコムセンタービルと日本科学未来館で開催する。

サイエンスアゴラは、未来社会のあり方を市民や科学者、政策立案者らが共に考えるイベントとして2006年から開催している。「科学とくらし ともに語り 紡ぐ未来」をビジョンに掲げて企画を募集し、今年は130超が決まった。
例年、来場者がより楽しめるよう趣向を凝らす。今年は「トウガラシマーク」を採用し、各企画の内容の難易度を1~3個のトウガラシのアイコンで示す。出展者に対しても、中高生主体の企画で同世代が交流しやすく、大学や研究機関との行き来も生まれるようにするなど配慮するという。
テレコムセンタービルでは昨年に続き、巡回しやすいよう「地球・生き物・私たち」「食・農業・健康」「街・空間・生活基盤」「研究・対話」「学び・体験・創造」の5つのジャンルを設け、ブースの配置を工夫する「キュレーション」を実施。科学コミュニケーション分野で活躍するアナウンサーで同志社大学助教の桝太一さんら、有識者10人で構成する「サイエンスアゴラ2025推進委員会」(委員長=次田彰JST理事)がこのキュレーションを進め、注目企画も選出した。

初日の25日には、同委員会委員でサイエンスエンターテイナーとして知られる東京都市大学准教授、五十嵐美樹さんによるサイエンスショーを含む「サイエンスアゴラ見どころ紹介・サイエンスShow!」が開かれる。
このほか量子コンピューター、体内の生体分子を外から操作し体調を保つことを目指す「細胞内サイバネティック・アバター」などの未来技術に関するもの、プログラミングを通じ対話を促すものなど、企画は多彩。暮らしや社会と科学とのつながりを意識したものも多く、人々が共に考え、新たな視点を共有する場を目指す。国際量子科学技術年である今年は、日本科学未来館と日本物理学会がコラボレーション(協働)する企画もある。
例年、お台場で開催したが、コロナ禍を受け2020~23年にはオンライン形式も導入した。昨年、完全実地開催が復活。今年もテレコムセンタービルをメイン会場に、日本科学未来館(いずれも東京都江東区青海=あおみ)を加えて開催する。近隣施設で同時に開催されるイベントとも連携し、お台場一帯を盛り上げる。

一部の材料費などを除き参加は無料。一般来場の事前申し込みは不要だが、一部の企画の参加には事前登録などが必要となる。各企画の詳細は、特設サイトで順次公開される。
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推進委員会が選んだ注目企画は次の通り。「ブース」は終日、「セッション」は特定の日時に実施されるもの。いずれもテレコムセンタービル。カッコ内は出展者で、略称を含む。
【ブース】
・サステナファッション体験!カギは超臨界流体技術(福井大学)
・ドキドキどうぶつラボ:感覚でつながる どうぶつの世界(京都市動物園)
・江戸前の小さなクジラ“スナメリ”を探そう!(東京海洋大学東京湾スナメリ調査チーム)
・教育とイノベーションでFUKUSHIMAが変わる(福島イノベ機構&F-REI)
・エネジョ×LABO:磁石とコイルで振動発電!(エネジョ×LABO)
・アゴラで愛を叫ぶ!科学・研究への愛を教えてください(サイエンストークス)
・AI人生相談所「あの文豪が君に答える」(理系の森ラジオ制作チーム)
・「サイエンス×アート」で探究する未来の学び(ナインキッズラボ 9kidslab)
・世界と地域、世代をつなぐ!課題解決して未来を作ろう(東京工科大学工学部グローカルSTEAMプロジェクト)
・光のふしぎ~光るスノードームを作ってみよう!~(日本技術士会科学技術振興支援委員会)
【セッション】
・キスのときどっちに顔を傾ける?~恋愛の左右の秘密~(法政大学恋愛科学研究室=越智研究室)=25日午後1時45分~2時45分
・量子が揺らす法廷:重ね合わせ人間の事件簿(名古屋大学サイエンス裁判所有志グループ)=26日午前10時半~正午
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