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国際生物学賞に英ダービン氏 バイオインフォマティクス研究を先駆

2023.09.20

 日本学術振興会(杉野剛理事長)は生物学で世界的に優れた業績を上げた研究者を顕彰する第39回国際生物学賞を、英ケンブリッジ大学のリチャード・ダービン教授(62)に授与すると発表した。生物学と情報学が融合したバイオインフォマティクス分野の先駆者の一人として、ゲノム(全遺伝情報)データに基づき、生物学に必須の情報解析手法などを次々に開発してきた功績が評価された。また数々のゲノム解析プロジェクトを長年、先導してきた。

リチャード・ダービン教授(本人提供)

 近年、生物学研究を強力に推進しているのが、ゲノム解析プロジェクトに代表されるゲノム生物学だ。ダービン教授は一見、暗号文にしか見えないゲノム配列から、さまざまな情報を読み解く解析手法やデータベース、フォーマットなどを次々開発してきた。現代のゲノム生物学で不可欠なものが多く、分子生物学に関わるほぼ全ての研究者が、間接的にであれ、その成果を利用しているという。

 また、限られたゲノムデータから生物集団の歴史を推測する手法を開発した。これにより人類の集団遺伝学的な歴史が明らかになるなど、考古学などにも大きな影響を与えてきた。

 動物で初めてとなった線虫のゲノム配列の解析や、ヒトゲノム配列中のタンパク質コード遺伝子の解析など、重要なプロジェクトで解析を先導してきた。人間の多様性や遺伝病の仕組みの解明で最も重要な基盤となる、大規模なゲノム解析プロジェクトにも注力。多様な生物の網羅的なゲノム配列解析を目指す国際プロジェクトでも、リーダーシップを発揮している。

 こうしたダービン教授のゲノム生物学への貢献が、授賞者を選定する国際生物学賞委員会(委員長=藤吉好則東京医科歯科大学特別栄誉教授)に評価された。日本学術振興会が先月30日発表した。授賞式は12月ごろに都内で行い、ダービン教授に賞金1000万円が贈られる。

 同賞は昭和天皇の長年の生物学研究と在位60年を記念し1985年に創設。上皇さまの魚類分類学(ハゼ類)の長年にわたる研究を記念することも趣旨としている。

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