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サイエンスアゴラ2023、来月26日開幕 体験と対話で未来を身近に

2023.09.19

 科学技術振興機構(JST)は19日、あらゆる立場の人が体験や対話を通じ、科学技術と社会をつなぐ国内最大級のイベント「サイエンスアゴラ2023」の概要を発表した。10月26~28日、11月17日のオンライン開催に続き、同18、19日に東京都江東区青海(あおみ)のテレコムセンタービルで実地開催する。

体験と対話を通じ、未来の科学技術を身近に。150企画が集結する「サイエンスアゴラ2023」。イラストは(C)Alessandro Bioletti/世界が広がる学問図鑑(Gakken)
体験と対話を通じ、未来の科学技術を身近に。150企画が集結する「サイエンスアゴラ2023」。イラストは(C)Alessandro Bioletti/世界が広がる学問図鑑(Gakken)

 サイエンスアゴラは、未来社会のあり方を市民や科学者、政策立案者らが共に考え、知を紡ぐイベントとして2006年から開催している。今年も対話を重視し、未来の科学技術を身近に感じる企画を幅広く公募。約150の企画が決まった。年代を問わず楽しめるものを目指し、分野は自然科学のみならず人文・社会科学にもまたがる。挑戦的な研究開発を支援する政府の大型プログラム「ムーンショット」目標への理解を深めるセッション、ゲームを通じて科学技術への興味を深めるワークショップ、学びにつながる体験ブースなど、多彩な企画が盛り込まれる。

 例年、青海で開催してきたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受け2020、21年はオンライン形式とした。昨年は十分な感染予防対策を取った上で一部の実地開催が復活した。今年も企画により、オンラインまたは実地の開催となる。人々が実際に対話する体験を重視するため、実地企画は一部を除いて配信しないという。

 10月26日からのオンライン開催では地球環境、食料や資源、エネルギーなどの課題解決に向け、具体的な取り組みを探るセッションなどを実施。それぞれ60分の本編と、参加者を交えた30分の対話を合わせ、計90分で構成する。

 11月18日からの実地会場では、より楽しんで回遊できるよう、来場者によって異なる興味や関心の切り口に応じて企画を価値づけ、分類する「キュレーション」をし、会場内の配置などに生かす。科学コミュニケーション分野で活躍するアナウンサーで同志社大学助教の桝太一氏ら、有識者10人で構成する「サイエンスアゴラ2023推進委員会」(委員長=塩崎正晴JST理事)がキュレーションを進めてきた。注目企画も選出した。

世界が広がる学問図鑑(Gakken)
世界が広がる学問図鑑(Gakken)

 推進委員会はキュレーションにあたり、小中学生が関心事を具体的な学びへとつなげるための書籍「世界が広がる学問図鑑」=宮野公樹京都大学准教授監修、Gakken(学研)発行=を基礎とした。これにより来場者は自然、社会、スポーツや芸術、レジャーやエンターテインメント、社会課題の5つの「気になる」トピックを手がかりに、興味や関心を深められるという。

 会場で特別な体験ができる企画を、事前登録制で予定。子供の興味を引き出す教育に関する企画、超小型月面車や小型ドローンの操縦体験、ゲノム(全遺伝情報)編集魚の試食などが含まれる。

 中高生が取り組みたい課題を見つけられるよう、会場内をめぐる予約制のワークショップ「未来社会を創るビジョナリーたちの集い」を18日、東京大学や立教大学の学生らの運営により実施する。このワークショップとの連動企画として、未来の社会に必要な標識を提案するコンテスト「未来のマークをつくろう2023」がSNSのX(旧ツイッター)を利用して行われる(10月31日午後10時応募締切)。

 実地開催前日の11月17日にはオンラインの「前夜祭」で宮野氏らが出展者の思いに切り込む。翌18日には会場のセッションで桝、宮野両氏が見どころなどを紹介し、アゴラの楽しみ方のヒントを紹介する。

 一部の実費負担を除き参加は無料。参加方法などの詳細は、特設サイトで順次公開される。

     ◇

 推進委員会が選んだ注目企画は、キュレーションのトピック別に、次の通り。丸カッコ内は開催日と形態(「ブース」「セッション」の会場はテレコムセンタービル内)。

【自然が気になる】
・おうちではじめるSDGs!作ってわかる!プラスチック(10月28日、オンライン)
・PCシミュレーションで生物の「からだ作り」を解き明かす(11月18、19日、ブース)
・研究者大喜利~魔法の世界/宇宙生活を実現するぞ!編~(11月18日、セッション)
・生き物を透明にしてみよう~組織透明化入門~(11月18日、セッション)
・ナイスガイの須貝と学ぶワークショップ「重さはどうやって生まれたのだろう」(11月19日、セッション)

テレコムセンタービル=東京都江東区
テレコムセンタービル=東京都江東区

【社会が気になる】
・ふれてみよう!未知なる価値への冒険(11月18、19日、ブース)
・研究のグレーゾーンについて考える!カードゲーム「QRP GAME」を使った対話型ワークショップ(11月18日、セッション)
・推しの心理学者を見つけよう!プレゼンバトル2.5~こころとは何か~(11月19日、セッション)

【スポーツや芸術、レジャー・エンタメが気になる】
・日本お笑い数学協会の「おもしろ算数・数学体験&ショー」(11月18、19日、ブース)

【社会課題が気になる】
・超早期に病気を予測・予防できたら、私たちの生活はどう変わると思う?(10月26日、オンライン)
・あなたの人格をAIで再現できるとしたらどう思う?法的規制は必要?(10月27日、オンライン)
・ひみつの研究道具箱~最新技術でピンチを切り抜けろ!~(11月18、19日、ブース)

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