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「確実に仕事したい」古川さんISS到着、2回目の長期滞在を開始

2023.08.28

 古川聡さん(59)と米欧露3人の宇宙飛行士を乗せた米スペースX社の宇宙船「クルードラゴン」が日本時間26日、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、約30時間かけて国際宇宙ステーション(ISS)に到着。古川さんらが半年間の滞在を開始した。日本人のISS長期滞在は12回目で、古川さんの飛行は12年ぶり2回目。28日午前にISSに移ると、「この素晴らしい国際クルー(搭乗員)の中で、確実に仕事をしていきたいと思います」と意気込みを語った。

ISSの歓迎行事で地上と交信し、意気込みを語る古川さん(前列右端)=日本時間28日午前零時半ごろ(NASAテレビから)

 クルードラゴンは26日午後4時27分に同社の大型ロケット「ファルコン9」に搭載され打ち上げられた。約12分後にロケットから分離されて打ち上げは成功。全自動で飛行を続け27日午後10時16分、高度約400キロのISSにドッキングした。結合部の気密性などの確認を経て扉が開き、28日午前零時3分ごろ、古川さんが笑顔でISSに姿を見せた。

ISSに到着した古川さん=28日午前零時過ぎ(NASAテレビから)

 クルードラゴンは再利用可能で、7号機は「エンデュアランス(耐久、忍耐)」と命名されており、3、5号機に続き3回目の運用となった。

 古川さんの滞在中、日本実験棟「きぼう」を活用した実験や作業、行事が多数計画されている。次世代水再生システムの実証、微小重力での固体材料の燃え方を調べる実験、撮影ロボットの実証、細胞が重力を感じる仕組みを探る実験、微小重力で肝臓の原基を培養する実験の関連作業、超小型衛星の放出などが含まれる。

 古川さんは1964年、神奈川県生まれ。博士(医学)。消化器外科の臨床及び研究への従事を経て、99年に山崎直子さん(52)=2011年にJAXA退職、星出彰彦さん(54)と共に飛行士候補に選ばれた。11年にISSに5カ月半滞在した。少年時代、人気特撮作品「ウルトラセブン」に憧れ宇宙に関心を持った。地上ではJAXAの宇宙医学生物学研究グループ長を歴任するなど、宇宙医学研究を推進してきた。

古川さんらのクルードラゴンを載せ打ち上げられるファルコン9=26日午後(スペースX社の中継画面から)
古川さんらが乗ったクルードラゴン(Crew-7 Dragon)の到着により、ISSに係留中の宇宙船は有人と無人合わせて6機に(想像図、NASA提供)

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