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「ナイスステップな研究者2021」に気鋭10人、国内外に広く成果を還元

2021.12.17

 文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP、ナイステップ)は、科学技術イノベーションのさまざまな分野で活躍している気鋭の研究者10人を「ナイスステップな研究者2021」に選定した。現代社会の課題に密接に関わる研究など多岐にわたる分野で、国内外に広く成果を還元している人物を選んだという。

「ナイスステップな研究者2021」に選ばれた野田口理孝氏の研究から。タバコ属の植物とほぼ全ての植物が接ぎ木できることを明らかにした(名古屋大学提供)

 活躍が期待される30~40代の研究者で、平均は40.0歳。生命の進化や物質に関する先進的な基礎研究や、人文学分野に情報学の技術を応用する融合研究、大型計算機を用いた大規模災害シミュレーションといった分野から選ばれている。

 NISTEPの調査研究活動を通じて得た情報や、専門家約2000人への調査などにより、最近の活躍が注目される約390人の候補を抽出。研究実績に加え、人文・社会科学との融合などの新興・融合領域を含めた最先端・画期的な研究内容、産学連携・イノベーション、国際的な研究活動の展開などの観点から、NISTEPの所内審査を経て10人が決まった。

 ナイスステップな研究者は2005年に開始。過去に選ばれた人物には、後にノーベル賞を受賞した山中伸弥氏や天野浩氏がいる。

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 選定された研究者と研究内容は次の通り。敬称略。年齢と所属は公表の14日現在。

 井上寛康(46)兵庫県立大学大学院情報科学研究科准教授、科学技術振興機構さきがけ研究員、理化学研究所客員研究員「複雑な社会・経済現象をシミュレーションで解明 異分野融合で拓くよりよい社会」

 井町寛之(46)海洋研究開発機構超先鋭研究開発部門主任研究員、延優(33)産業技術総合研究所生命工学領域生物プロセス研究部門主任研究員「真核生物誕生の謎に挑む 新たな進化モデルの提唱」

 後藤真(45)国立歴史民俗博物館准教授、総合研究大学院大学文化科学研究科准教授「人文学の研究を可視化し未来につなぐデジタル・ヒューマニティーズの開拓」

 作道直幸(38)東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻特任講師「ソフトマターの新たな法則の発見 ゴムやゲルの物理が導く新たな世界」

 曽我昌史(33)東京大学大学院農学生命科学研究科准教授「人と自然の関わり合いの理解を通して、持続的な自然共生型社会の構築を目指す」

 野田口理孝(41)名古屋大学生物機能開発利用研究センター准教授、グランドグリーン取締役「『タバコ』で紡ぐ農業の未来」

 登大遊(37)情報処理推進機構産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室長、ソフトイーサ代表取締役、NTT東日本特殊局員、筑波大学産官学共創プロデューサー(産学連携教授)「新たなテレワークシステムの研究から社会実装まで 誰でもどこでもつながる世界を目指して」

 畑中美穂(38)慶応義塾大学理工学部化学科准教授「化学的性質を活かした近似計算方法の開発と応用 機能性材料の理解の深化と効率的設計を目指して」

 樋口ゆり子(47)京都大学大学院薬学研究科准教授「細胞膜修飾による細胞機能の制御 生体内の治療標的となる箇所だけで治療効果などの機能を発揮させる」

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