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コロナ治療薬としてリウマチ薬を承認へ 国内3例目、厚労省

2021.04.22

 厚生労働省の専門部会は21日、関節リウマチの薬として承認されている「バリシチニブ」を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として使用することを了承した。この薬は中等症、重症の成人患者を対象に抗ウイルス薬「レムデシビル」との併用で投与する。同省は部会了承を受けて5月中に正式承認する見込みで、国内3例目のCOVID-19治療薬となる。

 厚労省や承認申請した日本イーライリリー(神戸市)によると、バリシチニブは「JAK阻害剤」と呼ばれる経口薬で、米製薬大手のイーライリリーが開発した。関節リウマチやアトピー性皮膚炎の治療で使われ、発症に伴う炎症を抑える効果がある。特に免疫が暴走して患者の症状を悪化させる「サイトカインストーム」を抑える効果が期待されている。

 米保健衛生当局は昨年11月、肺炎を起こして酸素投与が必要な患者にレムデシビルと併用することで治療効果があるとして緊急使用許可を出した。これを受け日本イーライリリーが昨年12月下旬に申請していた。

 厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会は21日に会合を開き、日本イーライリリーが申請したデータを審議し、了承した。同社は申請とは別に13日、1日1回4ミリグラムのバリシチニブをレムデシビルに併せて投与した場合、投与開始から28日目までに死亡率が38%低下した、とする最新の臨床試験(治験)データを公表していた。

 日本ではこれまでコロナ治療薬としてレムデシビルとステロイド薬の「デキサメタゾン」が承認されている。関節リウマチ薬としては、大阪大学の岸本忠三特任教授が開発に関わったスイス製薬大手のロッシュの「トシリズマブ」について、米国や日本などで治験が進んでいる。

厚生労働省が入った中央合同庁舎第5号館(東京都千代田区霞が関)

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