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新型コロナのワクチンの国内初承認へ審議 ファイザー製品で厚労省部会

2021.02.12

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会(専門部会)は、米製薬大手ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンを特例承認するかどうかについて12日夜にも結論を出す見込みだ。既に医薬品医療機器総合機構(PMDA)が特例承認して差し支えないとする審査報告書をまとめており、専門部会の審議でも承認される見通し。この判断を受け、田村憲久厚労相が近く国内接種用ワクチンとして正式に初承認する予定だ。

 審議されるのは、ファイザーがドイツのバイオ企業ビオンテックと共同開発した「RNAワクチン」。ファイザーは海外で約4万3000人を対象に臨床試験(治験)を実施し、ワクチンを接種した人と偽薬を接種した人との比較から「COVID-19の予防に95%の有効性を示した」と報告している。

 特例承認は、病気のまん延を防ぐために特定の薬の緊急使用が求められる場合に限り審査手続きを簡略化し、国内外のデータを審査して医薬品承認する制度。ファイザ―は昨年12月に厚労省に承認申請した。厚労省関係者によると、PMDAは提出されたデータに加え国内約160人を対象にした治験結果も加味して検討。特例承認しても差し支えないとする審査報告書をまとめている。この中で、国内治験でもワクチン接種者は中和抗体の増加が確認されているとされる。

 専門部会は12日午後6時から開かれ、同日夜には結論を出す予定。報告書の内容が妥当かどうかなどを審議するが、新たな問題点が出てこない限り同日中に承認される見通しという。同省によると、ファイザーのワクチンの第1弾は同日午前、ベルギーのブリュッセルから成田空港に到着。早ければ来週中に同意を得た医療従事者約1万人を対象にした先行接種が始まる。

 政府は米ファイザーと1億4400万回分、英アストラゼネカと1億2000万回分、米モデルナと5000万回分の供給契約を締結している。1人2回の接種を想定しており、計1億5700万人分となる。政府は医療従事者を最優先に接種を開始。その後、65歳以上の高齢者約3600万人、さらに高齢者以外で基礎疾患がある人などに接種対象を広げる計画だ。

 しかし米国内などでワクチン不足が問題になり、欧州連合(EU)がワクチンの輸出管理を強化していることなどから医療従事者に続く国内接種スケジュールは確定していない。

米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチン(米ファイザー提供)
米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが開発したワクチン(米ファイザー提供)

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