スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、2020年のノーベル医学生理学賞を、米国立衛生研究所(NIH)のハーベイ・オルター博士、カナダ・アルバータ大学のマイケル・ホートン博士、米ロックフェラー大学のチャールズ・ライス博士の3氏に授与する、と発表した。授賞理由は「C型肝炎ウイルスの発見」。日本人は2年連続で同賞の受賞を逃した。
賞金の1000万スウェーデン・クローナ(約1億1800万円)が3氏に贈られる。今年は新型コロナウイルス対策のため、スウェーデンで12月10日に開かれるノーベル賞の授賞式に受賞者は出席せず、居住国で表彰を受ける異例の形式となる。恒例の晩さん会も行わない。
世界保健機関(WHO)によると、C型肝炎の患者は世界で年間約7000万人に上ると推定され、このうち40万人が肝硬変や肝臓がんで亡くなっている。オルター博士は既知の肝炎ウイルスとは異なるウイルスが存在することを明らかにした。ホートン博士はこのウイルスを特定。ライス博士は見つかったウイルスがC型肝炎を引き起こすことを確かめた。
その後血液検査や新薬の開発が可能になり、今では抗ウイルス薬が普及している。「ウイルスの発見により、数百万人の命が救われた」とノーベル財団は3氏の業績を高く評価している。C型肝炎は死に至る病ではなくなりつつあるが、輸血や医療事故などで感染するリスクは依然として残っている。
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