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今年のブループラネット賞に米、英の2氏

2020.06.11

 旭硝子財団(島村琢哉理事長)は10日、地球環境問題の解決に尽くした研究者らに贈る「ブループラネット賞」の今年(第29回)の受賞者に、農業と食習慣が健康と環境に与える影響を研究した米国のデイビッド・ティルマン氏と、国際自然保護連合(IUCN)で絶滅が危ぶまれる生物種をまとめた「レッドリスト」作りに貢献した英国のサイモン・スチュアート博士の2人を選んだと発表した。表彰式は10月7日に東京都内で開かれ、それぞれに賞状と副賞5000万円などが贈られる。

 旭硝子財団によると、ティルマン氏は現在米ミネソタ大学の教授・大学理事で、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校卓越教授も務めている。同氏は、農業と食習慣が健康と環境に与える影響を精査。果物や野菜など植物を中心とした食習慣は人間の健康と環境の両方に利がある一方、赤身の肉が中心の食事は両方に悪影響があることを示した。そして人間の健康にも地球環境にもよい農業の実践と食習慣への移行を提唱している。

 受賞が決まったティルマン氏は「私たちや私たちのあとに続くすべての人たちの生活は、地上のすべての生き物が相互依存していることを認識し、これまで以上に素晴らしい持続可能性を達成するための道を見つけ、たどり続けることにより、非常に豊かなものとなる」などとコメントしている。

 スチュアート氏は英シンクロニシティ・アース戦略的保全部長で、元 IUCN 種の保存委員会議長。同氏は、レッドリストのためのカテゴリーと定量的な基準の開発を主導し、評価対象となる種の拡大に貢献した。これによりレッドリストは最も信頼性が高く、広く利用される種の絶滅リスクに関する情報源となった。同氏はまた、両生類の減少はその生息場所だけでなく、自然環境が損なわれつつあることを示していると警鐘を鳴らした。

 スチュアート氏は「ブループラネット賞をいただくことで得られる知名度を、人間と自然のための調和のとれた持続可能な未来を実現するために使わせていただく」などとコメントしている。

 ブループラネット賞は、旭硝子財団が地球サミット開催を機に1992年に創設した。毎年、地球環境問題の解決に向けて科学技術の面で著しい貢献をした個人または組織を選び、環境分野の賞として国際的にその名が知られている。

デイビッド・ティルマン教授(旭硝子財団提供)
デイビッド・ティルマン教授(旭硝子財団提供)
サイモン・スチュアート博士(旭硝子財団提供)

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