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「徹底した行動制限なお必要」 新型コロナ対策の専門家会議が提言

2020.05.01

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止策を検討する政府の専門家会議(座長・脇田隆字国立感染症研究所長)は1日午前、会合を開き、新たな感染者数は減少傾向にあるものの医療現場の逼迫(ひっぱく)した状況が続いている、などとして「徹底した行動制限」を続ける必要があるとの認識で一致した。同会議は会合で確認した内容を提言の形でまとめ、同日夕、発表した。発表に際して記者会見した同会議の尾身茂副座長(地域医療機能推進機構理事長)は『今後も持続的な(感染拡大防止)対策が必要だ』などと述べた。

 安倍晋三首相は緊急事態宣言について、4月30日に5月6日の期限を延長する意向を表明しており、1日の専門家会議の分析結果を踏まえて早ければ4日にも正式に期限延長を表明する。

 専門家会議は1日午前10時から開いた会合で、現在の感染拡大状況を分析した。西村康稔経済再生担当相が同日正午過ぎから記者会見した。会見内容や同会議関係者によると、会合ではこの日までにまとめた提言案を基に議論した。その結果、「接待を伴う飲食店での感染者数が減少したことなどから一時は700人以上に及んだ1日当たりの新規感染者数は減少に向かっている。しかしその一方で、病院や福祉施設では集団感染が多発している」との認識になった。

 さらに新たな入院患者によって病院の負荷はしばらく続くことが見込まれるため、当面の間は外出自粛を続け、特定の業種については営業自粛を求める現在の感染拡大防止策を維持することが望ましい、との見解でまとまった。このほか、学校活動についても議論し、感染リスクを低減した上で再開が必要という結論になったという。

 会合では4月10日段階での実効再生産数も報告された。実効再生産数は1人の感染者が何人にうつすかを示す指数で、東京都は0.53、全国は0.71だった。東京都の数値は一時、感染爆発が危惧される2.0を超えて2.6にまで達していた。

 政府は4月7日に東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言を出した。その後16日には宣言対象を全国に拡大し、「人との接触を最低でも7割、極力8割減らしてほしい」と国民に要請してきた。

 厚生労働省によると、4月30日の段階で国内の感染者はクルーズ船の乗員乗客を含めると1万5000人に達し、死者は470人になった。感染者の数字はPCR検査による確認・報告数で、専門家の多くは実際の市中感染者はかなりの数に上るとみている。

国立感染症研究所で分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像。粒状の粒子の上にコロナウイルス特有の冠状のスパイクタンパク質が観察できる(国立感染症研究所提供)
国立感染症研究所で分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像。粒状の粒子の上にコロナウイルス特有の冠状のスパイクタンパク質が観察できる(国立感染症研究所提供)

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