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東京の「1人から生じる2次感染者数の平均」が1.7に かなりの人口が感染の恐れ

2020.04.02

 新型コロナウイルスの拡大防止策を検討する政府の専門家会議は1日、東京都や大阪府など、都市部を中心に感染者が急増し、医療現場が機能不全に陥る可能性がある、と警告する新たな提言を発表した。1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値である「実効再生産数」は東京で1.7になっており、現在の感染拡大が続くとかなりの人口が感染する恐れが出ている。

米国の患者から分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(Credit: NIAID-RML)
米国の患者から分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡画像(Credit: NIAID-RML)

 新たな提言は、地域の感染状況によって医療体制を速やかに確保することを求めたのが特徴。全国の地域を(1)1週間前と比べて大幅に感染者が増えている「感染拡大警戒地域」、(2)感染者の増加が一定程度に収まっているが今後拡大する可能性がある「感染確認地域」、(3)1週間前から感染者が確認されていない「感染未確認地域」に3分類した。

 その上で「感染拡大警戒地域」は、現状では東京と大阪が該当するとし、オーバーシュート(感染爆発)を防ぐために期間を定めた外出自粛要請をしたほか、10人以上集まるイベントへの参加や、家族以外での多人数での会食を避けることなどを求めた。「感染確認地域」では、屋内で50人以上が集まる集会やイベントへの参加を控えるよう求めた。具体的な判断は各自治体に任せられた。また「感染未確認地域」では、適切な感染防止対策を講じた上で屋外のスポーツや観戦、文化施設の利用は可能とした。

 提言はまた、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の5都府県を挙げて医療体制がひっ迫している、と指摘。早急な対応を関係機関に求めた。東京都の感染者は1日、新たに66人増えて581人になった。66人のうち感染源不明者は33人。多くの専門家は「増加人数が3桁になったら赤信号」と指摘しているが、この週末には3月20から22日までの3連休の感染実態を反映した感染者数が報告される見通しで、直近の感染実態を知る上で極めて注目される。

 新たな提言は、日本全国の実効再生産数は3月15日時点で既に1を越えており、その後、3月21日から30日までの東京都の推定値は1.7だった、と発表した。専門家会議はすでに「流行シナリオ」を作成。「1人の感染者が何人に感染を広げる可能性があるか」かを示す「基本再生産数」を、それぞれ1.4、1.7、2.0を想定して流行シナリオを作成した。それによると、1.7の場合は全人口の9パーセント、2.0の場合は10.6パーセントが感染するとの推計値を出している。今回、東京都の実効再生産数を1.7と認定した。実効再生産数を基本再生産数に単純に置き換えることはできないが、実効再生産数が2に近い数値であることから、現在の感染拡大が続けば首都・東京はかなりの人口がやがて感染する可能性があることを示している。

 一方、世界の感染者数も増加の一途で日本時間2日午前現在90万人を超え、100万人を超えるのは時間の問題とみられている。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、世界の感染者は日本時間2日午前現在、約93万人。感染者が最も多いのは米国で、21万人を超えた。欧州の中で最も多いイタリアも11万人を上っているがここ数日増加数は減る傾向にある。

世界のコロナウイルス感染者の増加を示すグラフ(提供・米ジョンズ・ホプキンズ大学)
世界のコロナウイルス感染者の増加を示すグラフ(提供・米ジョンズ・ホプキンズ大学)

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