スペイン・マドリードで開かれていた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)は15日午後 、パリ協定の実施ルールで合意できないまま次回会合に先送りして閉幕した。会期を2日延長しながら各国間の対立は解けなかったという。実施ルールの大半はこれまでの交渉で決まっており、ルールが完成しなくても協定自体は始動する。しかし温暖化とみられる現象が世界で顕在化しながら、会議では各国間が対立する構造が鮮明になり、今後に向けて大きな課題を抱えることになった。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「会議の結果には失望したが、あきらめてはいけない」と強調する声明を発表した。
COP25事務局が公表した文書や環境省関係者らによると、COP25は10日から閣僚会合が始まったが、主要議題での交渉は難航、13日までの会期を2日延長し、徹夜で協議するなどした。しかし、来年に本格始動するパリ協定の実施ルール作りで難航。具体的には他国への技術支援などによって達成したその国の排出削減実績を自国の目標達成に組み込む仕組みについて各国の意見が対立し、妥協点を見いだすことができなかった。
また、現状では温暖化を防止するためには不十分とされていた各国の温室効果ガス排出量削減目標を上積みすることを義務化する議論でも、意見は対立したまま合意に至らなかった。15日に採択された決定文書では「引き上げを促す」という表現にとどまったという。
国連のグテーレス事務総長は会議閉幕に際して次のような声明を発表した。
「COP25の結果に失望している。国際社会は、気候の危機に取り組むための温暖化を緩和・適応する問題や(途上国支援などに関する)資金の問題について野心的な意識の高まりを示す重要な機会を失った。しかし、あきらめてはいけない。あきらめない。科学は(すべての国が)2050年には(二酸化炭素排出と吸収が同量になる)『カーボンニュートラル』を達成して産業革命からの温度上昇を今世紀末には1.5度以下に抑えることを必要としている。(パリ協定が始まる)来年は、すべての国が(温室効果ガス排出削減への努力に)参画する年になるよう私も尽力するとこれまで以上に強く決意している」
パリ協定は、産業革命前から今世紀末までの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。会議を前に国連環境計画(UNEP)は、現在の各国の削減目標をすべて達成しても3.2度も上がってしまい、今のままの排出傾向では今世紀末には「破滅的な影響」が生じると警告し、各国に削減目標の上積みを促していた。
関連リンク
- COP25公式サイト
- 国連気候変動枠組み条約ホームページ「国連事務総長声明」