地球から約3億4千キロメートル離れた小惑星「りゅうぐう」上空に昨年6月に到達していた日本の探査機「はやぶさ2」が、りゅうぐうに22日午前7時半ごろに着陸に成功した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクトチームは探査機が上空に到達してから、2台の小型探査ローバを放出、着陸させるなどして着陸地点を慎重に検討してきた。着陸後は探査計画の最大の目標である試料を採取。地球から遠く離れた小惑星での難作業への挑戦は成功した。先代の「はやぶさ」に続く偉業、快挙だ。着陸成功が確認された後の記者会見でJAXAの担当者は「本日人類の手が新しい小さな星に届きました。想定した中ではベストの状態で着陸ができた」などと安堵の表情で語った。
JAXAによると、着陸地点はりゅうぐうの赤道付近にある幅6メートル程度の狭い場所で「トリトニス」と名付けられている。これまでの事前調査では、りゅうぐうの地表面は岩が散在し、平たんな場所が少ないことが判明。当初は昨年10月に着陸する予定だったが、これを延期して慎重に着陸作戦を練ってきた。はやぶさ2はりゅうぐうの上空20キロに待機していたが、21日から少しずつ降下し、搭載コンピューターが自律的にコントロールして着地。着陸と同時に機体の底から筒状の装置を延ばして金属の弾丸を発射、舞い上がる砂ぼこりを採取。採取後はすぐに上昇して再び上空で待機している。
はやぶさ2は、りゅうぐう上空に到達した後に放出した2台の小型探査ローバは2台合わせて「ミネルバ2-1」と呼ばれていたがその後、「イブー」と「アウル」と命名されている。今年11〜12月までさまざまな探査を実施。探査終了後、地球への復路を飛行し、2020年末にオーストラリアの砂漠上に試料を収めたカプセルを落とす計画だ。
はやぶさ2は、世界で初めて小惑星から岩石を採取して地球に持ち帰った小惑星探査機「はやぶさ」の後継機で重さは約600キロ。推進装置はイオンエンジンで、光学カメラやレーザー高度計など先端技術を駆使した機器類や着陸機を積んでいる。2014年12月に鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられた。地球とほぼ同じ軌道を周回した後打ち上げ約1年後に地球に最接近。地球の重力を利用する「地球スイングバイ」で方向を変えて太陽の方向に飛行を続け、昨年6月27日にりゅうぐう上空に到達した。それまでの飛行距離は約32億キロにも及んだ。
りゅうぐうは、地球と火星の軌道付近を通りながら1年余りをかけて太陽の周りを回っている1999年に発見された小惑星。はやぶさ2の観測でそろばん玉のような形をしていることが判明している。地球との距離は変化するが現在は約3億4千キロ離れている。幅は約900メートル。先代のはやぶさが調べた小惑星イトカワの2倍ほど。水分や有機物を含む岩石が存在して原始太陽系の痕跡をより多くとどめているとされている。