政府がこのほど「統合イノベーション戦略」をまとめた。戦略は政府が14日に「第39回総合科学技術・イノベーション会議(議長・安倍晋三首相)」を開いて策定した。大学への運営費交付金の在り方を変えて大学の経営改善を目指すことや、IT分野で数十万人規模の人材育成を進めることなどを大きな柱にしている。戦略は関係省庁の来年度概算要求に反映される見通しだ。
「統合イノベーション戦略」はまず「世界で破壊的なイノベーションが進展し、過去の延長線上の政策では世界に勝てない」などと明記し、今後取るべき国としての取り組みを体系的に提示している。この中で大きな柱になっている「大学改革等によるイノベーション・エコシステムの創出」の項目で「2023年度までに研究大学の40歳未満の本務教員割合を3割以上にする」「23年までに総論文数に占めるトップ10%補正論文の割合を12%以上にする」などと具体的な数値目標を挙げた。
また、IT分野を「強化すべき分野」と位置付けて、25年までに先端的なIT分野の人材を年数万人規模で、 IT分野全体の人材を年数十万人規模で育成・採用する体制をつくる、とするなど人材基盤の確立方針を明示した。
このほか、「オープンサイエンスのための基盤整備」の方針も打ち出して「研究データの管理・公開・検索を促進するシステムを20年度から運用開始する」などの具体策を提示している。
安倍首相は14日の会議で「民間資金の獲得に積極的な大学に対して交付金を重点的に傾斜配分する。研究予算を、将来を担う若手研究者に大きく振り向ける」などと述べた。
政府には、「宇宙開発戦略本部」や「健康・医療戦略推進本部」「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」「サイバーセキュリティ戦略本部」などがあり、本部ごとに戦略を策定していた。このため政府全体の整合性や総合的な戦略を求める指摘が出ており、こうした指摘がこれまでの「科学技術イノベーション総合戦略」を見直した統合的な戦略の策定につながった。
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