宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は、気候変動を正確に予測する観測衛星「しきさい」と試験衛星「つばめ」を23日にも、鹿児島県・種子島からH2Aロケットで打ち上げる、と発表した。「しきさい」は、気温上昇を予測するために必要な情報とされながら、よく分かっていなかった大気中の微粒子が気候に及ぼす影響などを詳しく調べる予定。打ち上げ予定時間は同日午前10時26分だが、最終的な安全確認を行い、少しでも懸念材料が見つかった場合は延期される。
「しきさい」の衛星本体は高さ約5メートル、縦、横それぞれ約2.5メートル。太陽電池パドルを広げると全長は約17メートルになり、重さは約2トン。19種類の波長を観測できる光学センサ「多波長光学放射計(SGLI)」を搭載し、太陽光を反射する大気中の微粒子のほか、海面水温や雲の分布や植生などさまざまなデータを収集する。高度800キロを回りながら2、3日で地表の全域を観測できるという。
試験衛星「つばめ」は、「しきさい」より低高度を飛行し、大気の抵抗など衛星運用や観測上影響を受けやすい高度200〜300キロで問題なく飛行できるかどうか調べる。低高度でも飛行できることが確認できれば、地表のより近くから地球を観測できるようになる。
今回打ち上げられる気候変動観測衛星の名前は一般から募集し、13,000件近い応募の中から「しきさい」に決まった。選定理由は「彩り豊かなイメージが、多波長を観測可能な多波長光学放射計により、植生、海洋、雪氷等、多くの観測対象をもつ気候変動観測衛星の特徴を的確に表している」ためという。