南極域の海氷面積が人工衛星による観測史上最小になったと国立極地研究所(NIPR)が23日発表した。これとは別に米航空宇宙局(NASA)も独自の観測に基づいて同様の発表をした。
同研究所の研究チームは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の水循環変動観測衛星「しずく」が捉えた南極域の海氷面積のデータを解析した。その結果3月1日の面積は約215万平方キロとなり、1978年の観測以来最小を記録したことが明らかになった。
同研究所によると、2016年10月中旬には約1,768万平方キロとなり10月の面積としては観測史上最小になり、その後も減少は続いて3月1日に年間を通じての最小を記録した。2000年代(2000〜09年)の年ごとの最小面積の平均は約303万平方キロで、今回記録された最小面積は2000年代の平均の約71%になったことになる。
一方NASAも23日に南極域の海氷面積が3日に最小を観測したと発表。北極海域の海氷についての観測結果も発表し、7日にこの冬で面積が最も広がったが冬のピークとしては過去最小になると推定した。こうした観測結果についてNASA担当者は「地球温暖化の影響と言いたいが(温暖化により)明確な減少傾向であるとするためにはあと数年のデータをみる必要がある」としている。
関連リンク
- 国立極地研究所プレスリリース「南極域の海氷面積が観測史上最小を記録」
- NASAプレスリリース「Sea Ice Extent Sinks to Record Lows at Both Poles」