人工知能(AI)を活用してがん患者一人一人に最適な治療を行うがん医療システムの開発プロジェクトを、国立がん研究センターと産業技術総合研究所などが共同で始める。膨大な医療データをAIで解析するのが特長で5年後の実用化を目指すという。同センターが29日発表した。
国立がん研究センターによると、同センターには質の高い基礎、臨床、疫学それそれの研究データが蓄積されているが、これまでこうしたビッグデータを解析する手法がなかった。今回の開発プロジェクトは、患者のゲノム(全遺伝情報)や画像診断・血液検査情報に疫学データ、医学研究論文情報なども加えた膨大なデータをAIで総合的に解析、個々の患者に最も適した治療法を提示するシステムをつくるという。
この開発プロジェクトには産業技術総合研究所人工知能研究センターのほか、AIの深層学習(ディープラーニング)技術の研究開発・産業化を推進している民間企業も参加。患者別の最適治療法提示のほか、新しいタイプの薬の開発にも役立てる計画だ。
現在、AIを医療に応用する研究が国内外の研究機関で進んでいるが、このプロジェクトはこれまでなかった医療システム構築を目指している。科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環として進められる。
関連リンク
- 国立がん研究センタープレスリリース「人工知能(AI)を活用した統合的がん医療システム 開発プロジェクト開始」