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オートファジーの詳細解明に大きな手掛り 大隅さんの弟子の水島東大教授らが解明

2016.10.24

写真 水島昇教授(2014年9月の科学技術振興機構東京本部での講演時)
写真 水島昇教授(2014年9月の科学技術振興機構東京本部での講演時)

 細胞が内部の不要タンパク質などを分解、リサイクルする「オートファジー」の研究で、東京大学の水島昇(みずしま のぼる)教授らの研究グループがタンパク質の特殊な結合体が分解を促進していることを発見した。研究成果は20日付の米科学誌サイエンス電子版に掲載された。

 オートファジーは、2016年のノーベル医学生理学賞受賞が決まった東京工業大学栄誉教授の大隅良典(おおすみ よしのり)氏が解明した現象。その複雑な過程などについてはまだ未解明な点が多く残っている。水島教授は大隅氏の愛弟子で、元共同研究者。今回の成果は、オートファジーの仕組みをさらに詳しく解明する大きな手掛りになりそうだ。

 オートファジーの基本的な仕組みは「細胞内部の不要になったタンパク質などを分解するために細胞内に内膜と外膜の二重の膜が出現し、この二重膜が分解物質を包み込んで分解し、必要なものに作り替える」というもの。

 東京大学大学院医学研究科の水島教授らは、哺乳類の正常な細胞と、オートファジーに必要な「ATG結合系」と呼ばれるタンパク質の特殊な結合体をなくした細胞、それぞれの分解の様子を「蛍光生細胞観察」という方法で観察した。

 その結果、正常な細胞では約7分で内膜が消えて分解が始まったが、ATG結合系がない細胞では、内膜の分解にかかる時間が正常細胞より6倍以上かかったという。これらの結果から研究グループは、ATG結合系が、細胞が不要タンパク質を効率的に分解する上で必要であることが明らかになった、としている。

 水島教授は、東京医科歯科大学の研究員だった1997年、当時は基礎生物学研究所の教授だった大隅氏を訪問。すぐに弟子となって大隅氏の偉大な研究を共同研究者として支えた。

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