大気、室内汚染により世界全体で年間650万人が死亡しているとの報告書を国際エネルギー機関(IEA)がまとめ、27日公表した。
報告書によると、工場や発電所、自動車などから排出される窒素酸化物や硫黄酸化物、粒子状物質などの大気汚染物質が原因で死亡する人は、アジアなど世界全体で年間300万人。これに加えてアフリカなどの一部の発展途上国では、調理用燃料に依然まきが使用されており、まきなどによる室内汚染で年間350万人もの人が死亡し、これら大気、室内汚染による死者を合わせると年間650万人に達する、とした。
IEAは、大気汚染状況を放置すると2040年には大気汚染物質による死者はさらに150万人増加。一方、室内汚染が多発している国については、電気やガスなどへの切り替えにより死者数は一定程度は減るものの、40年時点での減少数は50万人にととどまり40年の大気、室内汚染による年間死者数は750万人になる、と推計した。
その一方で、アジアなど世界各国が化石燃料消費の実態を改善、省エネ政策を強化してクリーンエネルギーの導入を進めれば、大気汚染による死者数を大きく減らせることが可能、とした。具体的にはクリーンエネルギー分野への投資を40年までに7%増やせば、大気、室内汚染による死者を計330万人も減らせるという。
IEAは大気、室内汚染は、高血圧、貧弱で偏った食事、喫煙に次いで世界の死亡原因の4番目としている。
関連リンク
- IEAプレスリリース「Small increase in energy investment could cut premature deaths from air pollution in half by 2040, says new IEA report」