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放射性物質の防護措置を強化 原子力規制委

2016.06.17

 原子力規制委員会が、研究機関や医療施設などから放射性物質が盗まれてテロなどに使用されることを防ぐため、保管場所に盗難防止用の監視カメラや頑丈な扉を設置することなど防護措置を強化する方針を決めた。同委員会は15日に開かれた定例会に提出された報告書を了承し、今後も議論を重ねて放射線障害防止法改正も視野に具体的な制度づくりを検討する。

 報告書は原子力規制庁の「核セキュリティに関する検討会」がまとめた。報告書は、(1)放射性物質を扱う部屋の出入り口や部屋内に監視カメラを設置する(2)防護措置の管理責任者を定める(3)管理する部屋の扉や保管容器を頑丈にする(4)管理手順書を整備し、緊急時の対応訓練を実施する‐などを義務化することを求めた。

 盗難防止策が義務付けられるのは一定の基準に該当する「社会、環境に対するリスクが高い」とされる研究機関や医療施設。全国に500程度あるとみられる。

 国際原子力機関(IAEA)は世界各国でテロの脅威が高まったとして2011年1月、各国に放射性物質の防護措置強化を求める勧告を出していた。また今年5月27日に出された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の首脳宣言では、ウランやプルトニウムなどの核物質のほか、医療などに使われる放射性物質も対象にした防護措置強化を確認している。医療機器や非破壊検査装置の放射線源としてコバルト60やイリジウム192などの放射性物質が使用されている。

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