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太陽の磁場生成の仕組みを解明 千葉大など、スパコン「京」活用し成功

2016.03.29

 太陽の磁場ができる基本的な仕組みをスーパーコンピューター「京(けい)」を活用して世界で初めて解明したと、千葉大学と東京大学の研究グループがこのほど発表した。太陽には磁場が強い「黒点」があり、黒点の変化は地球の気候にも大きく影響するとされている。謎が多かった太陽の磁場研究を大きく進める研究成果で、論文は米科学誌サイエンスに掲載された。

 黒点は周囲と比べると温度が低く、強い磁場がある。その数は11年ごとに増減することが知られているが、周期がなぜ11年なのかは不明で「太陽最古の謎」と呼ばれていた。また1600年代中ごろから約70年は黒点が少なく、これが原因で地球が寒冷化したとされている。

 千葉大学大学院理学研究科の堀田英之(ほった ひでゆき)特任助教らの研究グループは、太陽内部で水素やヘリウムの原子核と電子がばらばらになったプラズマガスの複雑な流れがどのように流れて磁場ができるのか、仕組みを「京」を活用して独自の方法で計算した。

 研究グループは、磁場が10年程度の周期で大きく変化する様子を再現することに成功。磁場変化を再現するなどして詳しく調べたところ、複雑に無秩序に動くと考えられてきたプラズマガスの流れ(乱流)は、小規模でも活発に生じる磁場によって強く抑え込まれて「秩序立った」(研究グループ)大きな流れだけが生成、プラズマガスが大きく動くことにより大規模な磁場ができることが分かった、という。

 こうした磁場生成の基本的な仕組みが11年周期に関係するとみられ、研究グループは、今回再現に成功した周期の「10年程度」を実際の「11年」にまで精度を高め「なぜ周期が11年なのか」詳しく解明したい、としている。

図 研究グループにより再現された太陽内部磁場の様子(千葉大学提供)
図 研究グループにより再現された太陽内部磁場の様子(千葉大学提供)

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