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科学離れに親の影響も 科学技術・学術政策研調査で判明

2016.03.14

 日本人がノーベル賞を受賞すると子供を研究者にしたいと考える親がむしろ減るという意外な結果が、科学技術・学術政策研究所の調査で明らかになった。受賞を伝える報道で研究者の仕事の苦労も取り上げられたのを見て、子供の理系進学をためらう親が増えたのではとみられている。

 科学技術・学術政策研究所が10日公表した「小・中・高校生の科学技術に関する情報に対する意識と情報源について」は、昨年10月、大村智(おおむら さとし)、梶田隆章(かじた たかあき)両氏がノーベル医学生理学賞、物理学賞をそれぞれ受賞した時期の前後に、小、中、高校生の保護者2,380人とその子供たち3,335人に対して行われた。

 子供の理系進学に対する保護者の意識がどのように変化したかを問う質問に対し、受賞決定が報じられる前は、「ぜひとも理系に進学させたい」か「どちらかというと理系に進学させたい」と答えた保護者は、小学生で39.8%、中学生で39.7%、高校生で38.2%だった。ところが受賞が報じられた後になると、小学生38.4%、中学生38.5%、高校生35.6%と軒並み減少した。

子供たち自身が研究者の仕事について関心を持つかどうかについて聞いた質問に対しては、別の傾向が出ている。「非常に興味関心を持っている」か「どちらかというと興味関心を持っている」とする小学生が、ノーベル賞受賞報道の前と後とでは5.2ポイント(12.8%から18.0%)増え、中学生も9.1ポイント(15.7%から24.8%)、高校生も7.6ポイント(17.8%から25.4%)それぞれ上昇していた。

 こうした結果に対し、科学技術・学術政策研究所は、わが子を積極的に理系に進学させることを躊躇(ちゅうちょ)する保護者が増えた可能性を指摘するとともに、はっきりした意思を持たない保護者を中心に子供の理系進学を促すことで「理科離れ」に歯止めをかけ、科学技術人材の育成に寄与できるのではないか、とみている。

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