2014年度の主要業種の社内研究開発費が前年度に比べ減少に転じたことが、科学技術・学術政策研究所の調査で明らかになった。14年4月の消費増税や世界同時株安、エネルギー価格の急落などの影響で、企業の主要業種における売上高や利益が減少したことによる可能性が指摘されている。
25日に同研究所が公表した「民間企業の研究活動に関する調査報告2015(速報版)」は、社内で研究開発を実施している資本金1億円以上の企業3,461社を調査対象にしている(調査票回収は1,741社)。このうち研究開発費に関する調査は、各企業の売上実績が最も大きい事業分野(主要業種)について実施した。結果は、1社当たりの社内研究開発費が25億7,145万円(外部からの受け入れ研究費7,896万円を含む)で、外部支出研究開発費が14億4,086万円だった。
14年度と前年度の調査に回答した企業の主要業種における平均社内研究開発費(外部からの受け入れ研究費を除く)を比べてみると、14年度は約32億9,700万円で、13年度の約34億8,800万円より減っていることが分かった。
調査報告は、リーマンショックが起きた08年度以降の社内研究開発費と外部支出研究開発費の変化も示している。リーマンショックと11年3月の東日本大震災の影響を受けて社内研究開発費(外部からの受け入れ研究費を除く)は、09年度と11年度に前年度より減少した。ただし、外部支出研究開発費はリーマンショック後の09年度こそ減少したものの、その後は増え続けている。東日本大震災は研究開発の外部化を加速した可能性を、報告は指摘している。
2014年度の調査報告では、社内研究開発費が前年度に比べ減少に転じたことに加え、外部支出研究開発費もわずかに減少したことが目を引く。
関連リンク
- 科学技術・学術政策研究所「民間企業の研究活動に関する調査報告2015(速報版)」
- 科学技術・学術政策研究所「民間企業の研究活動に関する調査報告2014」