経済協力開発機構(OECD)は20日、各国が新たに表明した温室効果ガス排出削減目標を達成したとしても、2040年ごろには累積排出量が、気温上昇をセ氏2度未満に抑えるのに必要とされる上限値を上回る、との報告書を発表した。ドイツのボンで開かれている国連気候変動枠組み条約特別作業部会に合わせた発表で、各国に排出削減の加速を強く求めている。
報告書は、調査対象国の排出総量は1990年以降増加していると指摘。経済活動の活発化や東京電力福島第一原発事故後のエネルギー政策の変更が影響した、としている。
報告書はまた、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」調査を引用する形で「気温上昇を2度以内に抑えるためには、世界全体の排出量を2050年までに10年比で40?70%削減し、今世紀末までにゼロかそれ以下にする必要がある」とし、「現在の傾向が続けば、気温上昇幅は2度を大幅に上回り、今世紀以降生態系に深刻かつ不可逆的な影響を及ぼして人間への健康影響を及ぼすリスクが増大する」と警告した。
地球温暖化による深刻な被害を避けるための国際目標として、産業革命から今世紀末までの気温上昇を2度未満に抑えるとの上限値が設定されている。
OECDは、加盟先進34カ国に、温室ガス排出量が世界1位の中国や3位のインドなど10カ国も加えた各国を対象にそれぞれの目標内容を分析した。
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