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海底の移動速度に差 海上保安庁が南海トラフ沿いで観測

2015.08.20

 巨大地震の到来が予想されている南海トラフ沿いの海底の動きを観測している海上保安庁が18日、海域ごとに移動速度が異なることを示す地図を公表した。

 海上保安庁が発表した地図によると、御前崎から浜名湖にかけての静岡県沖と、紀伊半島西側沖から四国沖にかけての海底は、この4年ほどの間におおむね北西方向に約6センチ移動している。紀伊半島東側沖の海底は移動速度がやや遅く約4センチ、四国高知県の南東、九州宮崎県の東側に位置する海底はさらに遅く約2センチだった。

 海上保安庁の観測法は、海底15カ所に設置した海底局(音響トランスポンダ)と海上の測量船との距離を音響測距という方法で測定する。測量船の位置は衛星利用測位システム(GPS)によって分かるため、海底局の正確な位置が割り出せる。

 海域によって海底局の位置の変化、つまり海底の移動速度に差が見られたことについて海上保安庁は、「プレート境界(陸側プレートと海側プレート間)の固着状態が場所によって異なることの証拠」という見方を示している。

 南海トラフでは、日本列島を載せた陸のプレートの下にフィリピン海プレートが潜り込んでいるため、過去に巨大地震が繰り返し起きている。次に起きる地震がいつ起きるか、起きた場合、震源域が駿河湾から四国沖にまで延びる超巨大地震になるのか、駿河湾を含む静岡県沖を震源域とする東海地震になるのか、あるいは紀伊半島沖、四国沖をそれぞれ震源域とする東南海地震、南海地震になるのかが、大きな関心事となっている。

 政府の地震調査研究推進本部が公表している全国地震動予測地図は、今後30年のうちにその地域がある地震動に見舞われる確率を色分けして示している。例えば震度6弱の場合、静岡県から四国にかけての太平洋沿岸地域は一様に確率26〜100%を示す赤色で覆われているが、震度6強となると26〜100%は静岡県の一部だけ。残りはそれ以下となっており、かつ地域によって違いが見られる。

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