人間と自然な対話ができる人型ロボットを、大阪大学、京都大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所の研究グループが開発した。
ERICA(エリカ)と名付けられたロボットは、外見が人間そっくりのロボット研究を進める石黒浩(いしぐろ ひろし)大阪大学大学院基礎工学科教授・国際電気通信基礎技術研究所フェローと、音声認識の研究で知られる河原達也(かわはら たつや)京都大学大学院情報学研究科教授が初めて共同研究することで実現した。
ERICAの外見は、「ビーナスラインの法則」や「パーツバランス3分の1の法則」など美人の顔の特徴とされる条件を満たすようにコンピューターグラフィックスで合成されている。顔だけで13個埋め込まれた圧縮空気を利用した駆動装置によって、眉、まぶた、眼球、唇、口、舌、頬などの微妙な動きが可能だ。首、肩、腰も計6個の駆動装置によって前後、左右、上下、旋回といった動きができる。
相手の動作や音声を認識し、自然に対話するために、河原教授らの開発した最先端の音声認識システム、対話生成システムが使われている。さらに国際電気通信基礎技術研究所独自の技術により、発声に対応して、唇の動きや頭部の動きを自動的に再現することができる。
3日、日本科学未来館(東京都江東区)で行われた記者会見では、記者とERICAの対話も行われ、これまでの人型ロボットとの違いを尋ねられて「言葉だけでなく、体を動かして話すことができること」と即座に応じたり、「好きな映画は」という問いにすぐには質問の意味が理解できなかったものの、再度の質問に「二十四の瞳です」と答えるなど、達者な応対ぶりを見せていた。
ERICAの開発は、昨年からスタートした科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業・総括実施型研究ERATOの研究プロジェクト「石黒共生ヒューマンロボットインタラクションプロジェクト」(研究総括:石黒浩氏)によって実施されている。石黒氏は記者会見で「5年後には人間の意図や欲求を推定して対話できるロボットをつくりたい」と語った。
関連リンク
- 科学技術振興機構、大阪大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、京都大学プレスリリース「研究基盤としてのアンドロイド「ERICA(エリカ)」を開発〜自然な対話が可能な自律対話型アンドロイドの実現に向けて〜」