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糖尿病患者に頻度高いゲノム異常発見

2014.04.09

 2型糖尿病患者で高頻度に認められる2カ所のゲノム構造多型を、東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科学分野の片桐秀樹(かたぎり ひでき)教授らが新たに発見した。以前の研究で糖尿病との関連を報告していた別の部位のゲノム構造異常がある糖尿病患者は、今回の2カ所の異常も併せ持つことが多い。3カ所すべてに異常があれば、糖尿病になりやすいことを確かめた。4月7日、米オンライン科学誌プロスワンに発表した。

 糖尿病患者は、全国で800万人以上、予備群も加えると2000万人にも及ぶ。その大多数は2型糖尿病で、代表的な生活習慣病である。遺伝因子の関連も知られているが、糖尿病体質を説明する決め手に欠けていた。研究グループは、35歳未満発症の日本人2型糖尿病患者100人と、糖尿病でない日本人健常者100人のゲノム構造異常を詳しく解析した。

 その結果、糖尿病に関連する構造異常として、第16と第22の染色体でゲノムコピー数減少の部位を見つけた。既に発見している第4番染色体のコピー数減少を加えて、3カ所の異常を併せ持つ人は、糖尿病患者100人のうち11人いたが、健常者では100人中ゼロだった。

 研究グループは「ゲノム上のこれら3カ所の部位に異常があると、糖尿病になりやすい。糖尿病患者の血縁者らに3カ所のゲノム異常を検査することで、糖尿病の発症や病態の予測につながり、予防も可能になる」とみている。検査法に関して特許も出願した。

2型糖尿病患者で見つかった3カ所のゲノム構造異常、糖尿病リスクのマーカーとなりうる(提供:東北大学大学院 医学系研究科)
図. 2型糖尿病患者で見つかった3カ所のゲノム構造異常、糖尿病リスクのマーカーとなりうる(提供:東北大学大学院 医学系研究科)

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