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花粉管の簡単な遺伝子制御法を開発

2014.02.27

 植物の花粉管に試薬を与えるだけで特定の遺伝子の働きを抑える簡単な手法を、名古屋大学大学院理学研究科の水多陽子(みずた ようこ)研究員らが開発した。遺伝子組み換えを使わない手法で、植物の遺伝子解析や新品種づくり(育種)などに幅広く応用が期待される。JST課題達成型基礎研究の一環として「ERATO東山ライブホロニクスプロジェクト」(研究総括・東山哲也・名古屋大学教授)の成果で、論文は近く英科学誌「プラントジャーナル(植物雑誌)」で公表される。

 被子植物では、花粉がめしべの上についてから発芽して花粉管が伸びていき、受精して種子ができる。花粉管が伸張しなければ、受精は成立しない。水多さんらは、シロイズナズナの花粉管の伸張などに関わる3種類の遺伝子をそれぞれ抑える硫黄化アンチセンスオリゴDNA(S化オリゴ)を最適な濃度で培地に加えた。

 そこで花粉を培養すると、S化オリゴで狙った特定の遺伝子の働きが抑えられ、花粉管がまっすぐ十分に伸びず、先端に枝分かれやこぶができた。S化オリゴは花粉の中に取り込まれ、効率よく作用した。この手法は、培地に特定の遺伝子に対応するS化オリゴを添加するだけでよい。遺伝子組み換えに頼らずに、植物の遺伝子を解析できる利点がある。結果もすぐ分かる。

 水多さんは「安くて簡単にできる遺伝子制御法だ。工夫すれば、どの植物にも使えるだろう。興味がある遺伝子の働きを解析する重要な手法になる。遺伝子組み換えが使われていないので、農作物の育種に応用しても、食品として受け入れやすい」と話している。

シロイズナズナの花とめしべの内部構造
図1. シロイズナズナの花とめしべの内部構造
S化オリゴを用いた花粉管内の遺伝子発現阻害の原理
図2. S化オリゴを用いた花粉管内の遺伝子発現阻害の原理
3種類の遺伝子を抑制するS化オリゴを加えた場合の花粉管の伸張の抑制と乱れ
図3. 3種類の遺伝子を抑制するS化オリゴを加えた場合の花粉管の伸張の抑制と乱れ。
上の写真のS化オリゴを含まない培地では、花粉管はまっすぐ伸びている

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