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プルシアンブルーに最高の除染能力

2013.03.05

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、東京電力福島第一原発事故によって放射能汚染された農地の除染のために、民間事業者から応募のあった放射性セシウムの吸着資材についての効果実証試験結果を公表した。試験対象9資材のうち合成青色顔料系の「プルシアンブルーフロアブル30%」の吸着能力が最も高いことが分かった。

 効果実証試験は、農地土壌から農産物への放射性物質の移行低減のために、今回の事故で放出された放射性物質のほとんどを占める放射性セシウムを吸着する効果のある民間資材を明らかにすることを目的とした。昨年10月31日から11月13日まで資材を公募し、10資材を試験対象に選んだ。その後1資材の辞退があり、9資材について試験した。

 試験の方法として、福島県内で採取した2種類の土壌(黒ボク土、褐色低地土)に資材を添加し、陽イオンと結合しやすい「交換性放射性セシウム」がどれだけ資材に吸収されたかを、抽出液の放射性セシウム濃度(ベクレル/㎏)を測定することで調べた。この場合、抽出液の濃度が低いほどが放射性物質の吸着能力が高いことになる。それらの濃度を、対照資材のゼオライト(島根産、山形産)、バーミキュライト(南アフリカ産)の場合とで比較した。

 その結果、資材応募者が示した添加割合(%)および一律に10%に添加割合をそろえた場合とでは、ともに「プルシアンブルーフロアブル30%」の放射性セシウム吸着能力が対照資材よりも高かったという。

 なおプルシアンブルーについては、産業技術総合研究所などが昨年11月、福島県川内村に試験プラントを立ち上げ、焼却灰中の放射性セシウムを吸着・回収する実証試験に取り組んでいる。

表:効果実証試験の結果(提供:農研機構)
表:効果実証試験の結果(提供:農研機構)

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