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今年の世界の異常気象・気象災害

2012.12.25

 気象庁は、今年発生した世界の主な異常気象・気象災害を発表した。世界各国からの1-11月までの観測データおよび12月14日までに入手した災害情報を基に速報としてまとめたもので、確定値による資料は来年1月15日に同庁のホームページ「世界の天候」で発表する。

 それによると今年1-2月は、偏西風の蛇行に伴って高気圧の勢力が強まり、東アジア北部からアフリカ北部にかけての広い範囲で異常低温となった。この広範囲な寒波の影響で、多くの国で気象災害が発生した。米国では3-7月の異常高温、5-9月の異常少雨により、トウモロコシなどの農産物の生育が悪化し、世界的な穀物価格の上昇を引き起こした。また台風やハリケーン、大雨による大きな災害も、パキスタン(異常多雨、9月)や米国・カリブ諸国(ハリケーン、10月)、フィリピン(台風、12月)などで発生した。

 世界の主な異常気象・気象災害は次の通り。

  • フィリピンの台風(12月):フィリピンではミンダナオ島を通過した「台風24号」の影響により、900人以上が死亡したと伝えられた。
  • パキスタンの多雨:パキスタンでは8月下旬から9月前半にかけて大雨となり、9月は異常多雨となった。パキスタンのジャコババードでは9月の月降水量が479㎜(平年比8,259%)だった。大雨や洪水により570人以上が死亡したと伝えられた。
  • 東アジア北部-アフリカ北西部の低温:東アジア北部-アフリカ北西部では、1月中旬から2月にかけて異常低温となった。寒波の影響で、ウクライナで130人以上、ポーランドで80人以上、ルーマニアで80人以上が死亡したと伝えられた。カザフスタンのアスタナでは、2月の月平均気温が-20.6℃(平年差-7.4℃)、ルーマニアのブカレストでは2月の月平均気温が-6.5℃(平年差-7.1℃)となった。
  • 西シベリア南部-カザフスタン北部の少雨:西シベリア南部からカザフスタン北部では、1-2月と7月に異常少雨となった。西シベリアのオムスクでは、1-2月の2カ月間降水量が4㎜(平年比10%)、7月の月降水量が8㎜(平年比12%)だった。
  • カザフスタン西部-ロシア西部の高温:カザフスタン西部からロシア西部では、4-5月と10月に異常高温となった。ロシア西部のアストラハニでは、4-5月の2カ月平均気温が19.1℃(平年差+4.8℃)だった。
  • 英国の多雨:英国では、4月および6月の月降水量が1910年以降で最も多かったと伝えられた。英国南西部のカンボーンの4月の月降水量は160㎜(平年比216%)、6月の月降水量は142㎜(平年比247%)だった。
  • 地中海周辺-アラビア半島の高温・少雨:地中海周辺からアラビア半島で異常高温(6-11月)、欧州南部で異常少雨(6、8月)だった。トルコのアンタリヤでは、6-11月の6カ月平均気温が25.7℃(平年差+2.1℃)、ブルガリアのソフィアでは6月の月降水量が8㎜(平年比11%)だった。
  • 米国東部-中部の高温・少雨:米国東部から中部で異常高温(3-7月)、米国中部で異常少雨(5-9月、11月)となった。ミズーリ州コロンビアでは、3-7月の5カ月平均気温が21.2℃(平年差+4.1℃)、ネブラスカ州のノースプラットでは5-9月の5カ月間降水量が90㎜(平年比27%)となった。米国本土の3月および7月の月平均気温が1895年以降で最も高くなったと伝えられた。また、高温・少雨による農産物の被害が伝えられた。
  • 米国・カリブ海諸国のハリケーン(10月):ハリケーン「サンディ」の影響により米国では120人以上が死亡したと伝えられた。また、ハイチなどカリブ海諸国でも合わせて80人以上が死亡したと伝えられた。
  • アラスカの低温:米国アラスカでは平年より気温が低くなることが多く、特に1月と3月は異常低温となった。アラスカ州のコールドベイでは、1月の月平均気温が-7.6℃(平年差-5.6℃)、3月の月平均気温が-6.5℃(平年差-5.5℃)となった。
  • ブラジル北東部の少雨:ブラジル北東部のパトスでは、3-4月の2カ月間降水量が29㎜(平年比9%)となった。
  • オーストラリア東部の多雨:オーストラリア東部では、1-3月にかけて平年よりも降水量が多く、3月は異常多雨となった。オーストラリア東部のウォガウォガでは、3月の月降水量が208㎜(平年比437%)となった。

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