国立天文台やデンマークのニールス・ボーア研究所などの国際研究チームは、地球から約400光年離れた宇宙空間で、生命の構成要素となるような糖分子を発見したことを発表した。同様な糖分子は過去に宇宙の2カ所で見つかっているが、惑星が作られるような場所での発見は初めて。「惑星に取り込まれていく上で適切な時期、場所に存在していることを示すもので、地球以外の惑星でどのように生命が作られるのかを考えるヒントにもなりそうだ」という。
国立天文台によると、見つかったのは「グリコールアルデヒド(C2H4O2)」という糖分子。日本や欧米などの研究機関が共同で南米チリに建設中の電波望遠鏡「アルマ」を使い、「へびつかい座ロー星」の方向にある、太陽と同じほどの質量の若い恒星2個からなる連星系の領域で、グリコールアルデヒドが放出する特徴的な電波を捉えた。
恒星や惑星の材料となる分子ガスやちりの雲は、恒星が発する光によって温度が上がり、ちりの表面で作られたいろいろな分子が蒸発する。雲の中に漂うようになった分子が放出する電波を、高感度のアルマ望遠鏡が捉えたものだ。「見つかったグリコールアルデヒドは、生命の起源に密接に関わるRNA(リボ核酸)の構成要素だ。この糖分子が惑星に降り積もっていく可能性がある十分にある」という。
アルマ望遠鏡は、チリ北部の標高5,000メートル(m)の高地に建設中の、直径12mの高精度パラボラアンテナ66台からなるミリ波・サブミリ波の電波望遠鏡。観測準備の整った16台のパラボラアンテナを用いて、2011年9月から性能確認などの「科学評価観測」を続けている。この過程で今回の研究成果が得られたもので、今年度から本格運用を始めるという。
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