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日米独の太陽エネルギー研究機関が連携

2012.07.13

 産業技術総合研究所「太陽光発電工学研究センター」(近藤道雄センター長)は11日、米国の「国立再生可能エネルギー研究所」(ダン・アルビズ所長)、ドイツの「フラウンホーファー研究機構・太陽エネルギーシステム研究所」(アイケ・ウェーバー所長)と研究協力覚書に調印したことを発表した。3機関が連携 強化を図り、太陽光発電の急速かつ世界的な低価格化と普及に対応するための研究をいっそう進めていくという。

 発表によると、太陽光発電をはじめとする各種の太陽エネルギーは近年、急速に利用量が拡大し、将来的にも持続的で低炭素のエネルギー供給システムの大きな 柱の1つと見込まれる。一方、太陽エネルギーの利用地域や用途が拡大して研究ニーズも急速に増加・多様化しており、世界的に研究開発の迅速化・効率化の促 進が求められている。産総研「太陽光発電工学研究センター」は、これまでにも太陽電池の性能・信頼性の評価技術に関して米独2機関と個別的に協力関係を結 んできたが、3機関が類似の研究計画と目標を持っていることから、さらに連携を強化していくことにした。

 覚書の締結により、3機関は互いに研究者を派遣し、各機関が得意とする技術について情報交換や人材交流を行うことで、互いに技術を補完する。将来的には3 機関が太陽エネルギー研究分野で主導的な立場をとり、今回の連携を、太陽エネルギー研究機関のグローバル・アライアンス(Global Alliance)として発展させていくことも視野に入れているという。

  • 国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory 、NREL):
    米 国エネルギー省傘下の国立研究機関。再生可能エネルギー全般と省エネルギー技術に関する研究開発を行う。所属人員2,400人以上。世界トップレベルの太 陽光発電の研究機関であり、関連する主要な国際標準規格の制定にも深く関わっている。現在までに、産総研「太陽光発電工学研究センター」から2人の職員を 派遣。日米共同研究補正予算で「集光型太陽電池の実証研究」「国際太陽電池品質保証(QA)フォーラムでの、太陽電池信頼性に関する国際規格の策定」を共 同で実施している。
  • フラウンホーファー研究機構・太陽エネルギーシステム研究所(The Fraunhofer Institute for Solar Energy Systems 、Fraunhofer ISE):
    太 陽エネルギーに特化した研究を行う。所属人員1,100人以上を擁する、太陽エネルギー分野における欧州最大の研究機関。特に結晶シリコン太陽電池では世 界をリードする立場にある。「PV-TEC」と呼ばれる太陽電池の一貫試作ラインを保有して、欧州の企業に開放している。同研究所と産総研「太陽光発電工 学研究センター」は、欧州連合(EU)と独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同出資プロジェクト「集光型太陽光発電技術開発」に参画し、評価を担当している。

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