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生物多様性は低所得国で40年間に60%低下

2012.05.16

 世界自然保護基金(WWF)は15日、「生きている地球レポート2012年」を公表した。このレポートは2年ごとに、地球の自然環境の変化を数値化して示している。

 今回のレポートは、高所得国が中・低所得国から資源を輸入・消費している結果、生物多様性の豊かさを示す「生きている地球指数」が特に中・低所得国で大幅に低下していることを強調している。

 「生きている地球指数」は、世界の2,600種以上の野生生物、約9,000の個体群のデータを基に算出したもので、レポートによると1970年から2008年までに、世界全体で28%低下した。地域ごとの格差が拡大しており、高所得国ではこの40年近くの間に指数は7%上昇した。つまり生物多様性は回復しているのに対し、中所得国では31%、熱帯に多い低所得国では60%の低下となっている。

 レポートは、人間のエネルギー消費、食料、消費財などを面積に換算して、どれほどの土地が必要かを表す「エコロジカル・フットプリント」という指標も毎回、公表している。前回の2010年レポート同様、「世界全体の消費を支えるために必要な生物生産力は、既に地球がもともと持っている生産可能な資源力と廃棄物の回収力の限界を50%超えており、人類の需要が現在と同じペースで伸びていけば、2030年までに地球が2個あっても足りなくなる」と、レポートはあらためて警告している。

 6月20-22日に、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が予定されている。WWFは「地球の生物生産力に見合った世界共通の消費のあり方を確立する」「長期的な自然資産の保全がもたらす利益を経済的に適切に評価し、生態系保全や持続的な管理に向けた金融投資の流れを改善する」ことなどの必要を指摘し、会議での各国首脳の議論に期待を示している。

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