内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(委員16人、座長・阿部勝征東京大学名誉教授)は、東海・東南海・南海地震など、南海トラフ(海溝)沿いで同時発生が予想される巨大地震の最大の震度分布や津波の高さなどの検討結果を公表した。
最大震度が6弱以上となる地域は24府県687市町村の約6万9000平方キロメートルに及び、そのうち震度7は静岡や愛知、三重、高知など10県153市町村(約7000平方キロメートル)にわたる。津波(満潮時)は高知県黒潮町の34.4メートルを最高に、東京の島しょ部から静岡、愛知、三重、徳島、高知など6都県23市町村で高さ20メートルを超えると予測される。
南海トラフ沿いの巨大地震については2003年に、国の中央防災会議が地震の規模をM(マグニチュード)8.8と想定して被害を予測した。同検討会は「現時点での科学的知見に基づく、あらゆる可能性を考慮」して、震源域を約30キロメートルより深く、長さも日向灘よりも南西方向に拡大するなど従来の約2倍に拡大したほか、津波の波源域も深さ10キロメートルよりも浅くするなど、地震の規模もM9.0に拡大して想定した。その結果今回は、最大震度6弱以上の地域が従来の約2倍に拡大した。津波高も各地で従来の想定を超え、愛媛や大分、宮崎、鹿児島の各県では約3倍の13-17メートルとなった。