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国立天文台に国内最古の天体観測写真

2012.03.19

 国立天文台は、保存されていた資料の中から113年前に撮影された国内最古の天体観測写真乾板が見つかった、と発表した。

 国立天文台は、1888年(明治21年)、港区麻布に東京帝国大学東京天文台として設立され、1924年(大正13年)に現在の東京都三鷹市に移転するまで、都心で観測を続けていた。発見された最も古い写真乾板は1899年3月5日にブラッシャー天体写真儀によって、とも座を撮影したもので、ほぼ14等級の恒星まで写しこまれている。

 このほか、日本で初めて観測され「TOKIO」、「NIPPONIA」とそれぞれ命名された小惑星を、当時、東京帝国大学教授だった平山信が1900年3月6日と3月9日に撮影した乾板も見つかった。

 また1900年2月28日から2夜、7時間以上の露出をかけて写された乾板には、B等級で17.3等まで暗い星が写し込まれており、当時の麻布の夜空が真っ暗であったことを伺わせる。

 これらの写真は今後デジタル化し、乾板アーカイブとして公開していく予定という。

 東京天文台は1988年に水沢の緯度観測所などと合併し、国立天文台となった。2004年4月1日から大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台となっている。麻布時代の資料や観測装置、乾板などは、関東大震災や太平洋戦争中に三鷹の東京天文台本館が火災に遭った際に失われたとみられていた。

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