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振り込め詐欺狙う通話察知技術開発

2012.03.19

 振り込め詐欺犯からの電話を音声から察知する技術を、名古屋大学と富士通が共同で開発した。技術を搭載した携帯電話などを使った実証実験が、警察庁警察大学校と名古屋銀行の協力を得て始まる。

 一般的に好ましくない情報を与えられた場合、内容に対する考察能力が低下してしまう「過信」状態になることが分かっている。こうした状態にある人の声は、高い音域で声の大きさの変化が乏しくなる特徴がある。また、振り込め詐欺でだまそうとする側の言葉には、「借金」「補償」などの言葉が多い。新しく開発された技術は、こうしたキーワードの検出数と、「過信」状態にあることを声の高さと大きさの変化から割り出す技術を組み合わせることで、振り込め詐欺を狙った通話であることが察知できる。

 これまで特有なキーワードが会話に含まれているかどうかで、過信状態かどうかを判断する技術はあった。しかし、心理的な抑圧を受けている人間の発声は、往々にして不明瞭になるため検出精度には限界がある。

 武田一哉・名古屋大学情報科学研究科教授ら名古屋大学と富士通が開発した技術によると、90%以上の精度で過信状態にあることを検出できたという。研究グループは、実証試験で実用性を確認した後、振り込め詐欺を狙った通話であることを本人あるいは家族などに注意喚起するシステムの開発につなげたい、としている。

 この技術は科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」研究領域(研究総括:東倉洋一国立情報学研究所副所長)の一環として得られた。

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