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マアナゴの産卵場所は沖ノ鳥島南方海域

2012.02.24

 すしや天ぷらの食材としてなじみ深いマアナゴの産卵場所が沖ノ鳥島南方の海域であることを、水産総合研究センター、東京大学大気海洋研究所、九州大学の共同研究チームが突き止めた。

 マアナゴは日本の沿岸だけでなく、東アジア一体に広く分布している。「のれのれ」と呼ばれ食通に珍重されている仔(し)魚(レプトセファルス)も、春の一時期、沿岸で捕獲される。しかし、生後間もない仔魚や成熟した親魚ともこれまで漁場で捕獲されたことがなく、マナアゴがどこで産卵するかは長年の謎だった。

 2008年9月に水産庁の漁業調査船「開洋丸」が、日本最南端の島「沖の鳥島」南方約380キロの海中で採集した長さ5.8ミリの仔(し)魚を、共同研究チームが調べたところ、歯やあごが形成されていないふ化後わずか3-4日の「プレレプトセファルス」であることが分かった。付近の海流を考慮すると沖の鳥島南方の九州・パラオ海嶺(れい)上の海域がマアナゴ産卵場所の一つと特定できる、と共同研究チームは言っている。産卵の時期は6-9月であることも分かった。

 マアナゴ(アナゴ科)と同じウナギ目に分類されるニホンウナギの産卵場所も長年、謎だったが、こちらは水産総合研究所の研究チームによって2008年9月、マリアナ諸島西方の太平洋で初めて成熟ウナギが捕獲にされ、西マリアナ海嶺上の海域が産卵場であることが分かっている。

 西マリアナ海嶺は伊豆・小笠原海嶺の南に位置する海底山脈で、マアナゴの産卵場所と分かった九州・パラオ海嶺は九州の日向灘からパラオ諸島に至る海底山脈。海嶺を目印に産卵を行うのは、ウナギ目に属する魚類の共通の特徴ではないか、と共同研究チームはみている。

 東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、日本海西部、仙台湾を中心に貴重な漁業資源となっているマアナゴの漁獲量は年々減少しており、1995年から2008年の14年間で年間漁獲量は13,000トンから6,300トンに半減している。

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