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コミュニケーション活発な研究者ほど成果も

2011.10.20

 文部科学大臣表彰など国内の科学技術関係賞を受けた研究者は、研究チーム以外の研究者とのコミュニケーションに積極的なほど大きな研究成果を挙げている実態が、科学技術政策研究所の調査で浮かび上がった。

 額賀淑郎・科学技術政策研究所上席研究員の調査は、「文部科学大臣賞」(2001-04年の科学技術功労者、研究功績者)、「科学技術分野の文部科学大臣表彰」(05-09年の開発部門、研究部門、若手科学者賞)の受賞者や、「ナイスステップな研究者」(05-09年の研究部門、プロジェクト部門など)に選ばれた研究者たちを対象に、コミュニケーションにかかわる行動と研究成果との関連を探っている。

 調査対象者の約56%に当たる533人からの回答を分析した結果、研究代表者が、チームに所属していない研究者との対面コミュニケーションを行っている回数が多いほど、研究チームの外国語論文数は多く、さらに研究成果(論文など)が実用化につながった比率も高いという傾向が見られた。

 研究代表者がチーム外の研究者と対面コミュニケーションをとる回数が月1回から週4回あったチームに属する研究者は、75%が23-500本の外国語論文を出していた。これに対し、年に0-10回のチームでは、23-500本の外国語論文を出している研究者は約40%に留まっている。

 研究成果の比較でも、研究代表者の対面コミュニケーションが月1回から週4回あるチームに属する研究者の約88%が、「実用化しているか実用化を目指している成果があった」としているのに対し、年に0-10回のチームでは約61%の研究者に留まっている。

 科学技術政策研究所は、2009年3月に発表した「第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究-内外研究者へのインタビュー調査」で、海外の研究者に対する日本人研究者のコミュニケーション能力、意志について懸念を指摘している。この中で「コミュニケーションの機会喪失が、日本の研究者が科学研究の中の大発見を探求することを妨げている」としていた。

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