政府の宇宙開発戦略本部(本部長、菅直人首相)の専門調査会(座長、葛西敬之・JR東海代表取締役会長)は8日、日本版の全地球測位システム(GPS)のための準天頂衛星を、宇宙開発利用における最重点課題とする報告書をまとめた。9月までに開催される宇宙開発戦略本部会合で施策を決定する。
報告書では、最重要課題として準天頂衛星システムを取り上げ、新産業の創出や日本の国際プレゼンスの向上、さらには災害対応能力の向上といった安全保障の面から、その整備の重要性を強調している。
日本の準天頂衛星は、昨年9月打ち上げられた「みちびき」の1機だけだ。現在の米国版GPSを補完するためには、最低でもさらに3機の準天頂衛星が必要で、米国に頼らず独自にGPSを運用するには全7機での体制を構築しなければならない。しかし報告書では、何機については言及せず、本部での議論にまかせた形だ。
また、内閣府に準天頂衛星の開発・整備・運用主体となり得る体制を整備すべきだとしているが、いわゆる「宇宙庁」の創設など、具体的にどのような体制をとるかについてはまとまっていないという。