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ミャンマー、タイでトラの違法取引横行

2010.11.22

 21日からロシア・サンクトペテルブルクで始まったトラサミットに合わせ、世界自然保護基金(WWF)とトラフィックが、ミャンマーやタイの闇市場でトラを初めとする大型ネコ科野生動物とその体の一部が違法取引されていることを示す報告書を発表した。

 報告書「The Big Cat Trade in Myanmar and Thailand」によると、中国との国境に近いミャンマーやタイの一部地域で、トラなど大型ネコ科動物の毛皮や骨、歯などが売られており、国境を越えてくる中国人に買われているという。この10年近い調査で確認された違法に取り引きされたトラやヒョウの体の一部は400頭に相当する。カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイにまたがるメコン川流域に生息しているトラの推定数は、この12年間で1、200頭から約350頭に急減している。

 野生動物の商取引を監視しているトラフィックは9日にも「Reduced to Skin and Bones: An analysis of tiger seizures from 11 tiger range countries(2000-2010)」という報告書を公表している。それによると、トラが生息している13カ国のうち11カ国でこの10年間で1、069-1、220頭、年平均にすると104-119頭分のトラの体の一部が押収された。11カ国の中で群を抜いて押収量が多かったのはインドで、中国、ネパールが続いている。

 野生のトラは100年前には10万頭いたのが、生息域の減少と主要な獲物の密猟による減少に加え、トラ自身に対する密猟や違法取引が原因で、現在ではわずか3、200頭まで減っているといわれている。

 21日から始まったトラサミットには、トラが生息する13カ国の首脳や専門家が集まり、次の寅(とら)年である2022年までに野生のトラの数を2倍に増やすことを目指す計画「グローバルトラ回復プログラム(Global Tiger Recovery Program)」などについて話し合う。

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