名古屋市で開かれていた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は30日未明、目標の「名古屋議定書」と「愛知目標」を採択し、閉幕した。
生物資源の利用と利益配分について定めた「名古屋議定書」は、遺伝資源の利用で生じた利益を公平に配分することや、遺伝資源の入手には資源の提供国から事前の同意を得ることの必要などを明記、遺伝資源を豊富に有する途上国に配慮した内容となっている。
また、生態系保全の新たな国際目標となる「愛知目標」は、「2020 年までに生態系が強靱(きょうじん)で基礎的なサービスを提供できるよう、生物多様性の損失を止めるために、実効的かつ緊急の行動を起こす」ことがうたわれ、「2020年までに少なくとも陸域の17%、海域の10%を保全する」など20の個別目標が掲げられた。さらに中長期目標(「自然との共生」)として「2050 年までに、生態系サービスを維持し、健全な地球を維持しすべての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される」ことが盛り込まれている。
このほか、「次の生物多様性条約第11回締約国(COP11)会議までに、指標や資金の所要額の目標について検討を行う」ことや「SATOYAMAイニシアティブの推進」、「次世代バイオ燃料の生産に使用され得る合成生物学とバイオ燃料に関する情報提供」、「海洋生物資源についても、生物多様性に配慮して持続的に利用するための適切な措置をとるよう各国に促す」などの決定が採択された。
COP11は、2012年10月にインドで開かれることも決まった。
世界自然保護基金(WWF)は、COP10閉幕にあたり、「合意が実行されれば、世界は生物種の大量絶滅を防ぐ軌道に乗り、価値ある世界の自然の劣化を食い止めることができるだろう」と会議の成果を評価する声明を発表した。