日本の宇宙開発上、大きな足かせとなっていた年間190日という打ち上げ期間の制約を撤廃することで29日、宇宙航空研究開発機構と関係漁業団体が合意した。
これまで種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所でのロケット打ち上げは、7月22日-9月30日と、1月1日-2月28日の計130日に、予備期間として加えられた5、6月と11、12月の合わせて60日の期間内でしかできない厳しい枠がはめられている。今回、宇宙航空研究開発機構、種子島周辺漁業対策協議会、鹿児島、宮崎、大分、高知、愛媛5県の漁業組織との間で成立した合意で、来年4月以降、ようやく年間を通じての打ち上げが可能になった。
ただし、打ち上げ機数は、現行と同じ年間17機以内、打ち上げ計画と漁業対策については、現行どおり毎年度、宇宙航空研究開発機構と漁業組織との協議の上で決定し、翌年度のロケット打ち上げ計画の概要についても協議する、という条件が付いている。
昨年6月に策定された政府の宇宙基本計画は、今後5年間で34機の衛星(大型12機、中型11機、小型11機、超小型衛星は除く)を打ち上げるなど、宇宙産業育成の姿勢を強く打ちだしている。このため、「打ち上げ時期の制約や射場環境の改善などに関する検討を進め、順次対抗に努める」としていた。
宇宙基本計画はまた、「人工衛星については、研究開発が中心であったことなどから、いまだ軌道上での運用実績が十分でなく、シェアを獲得できていない」と宇宙産業の国際競争力が劣っている現実も指摘している。さらに宇宙機器産業の規模が、1998年から2006年の間に売り上げで約40%、従業員規模で30%減少しているという民間の調査結果も紹介している。