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長寿命の人工ひざ関節製品化へ

2009.10.21

 人工ひざ関節の部材原料にビタミンEを加えることで耐久性を大幅に高めることにナカシマメディカル社が成功、既に医療機器としての製造販売承認も厚生労働省から得て、来年早々に製品化される見通しとなった。

 この人工ひざ関節は富田直秀・京都大学大学院工学研究科教授の研究成果を基に科学技術振興機構がナカシマメディカルに約1億4,000万円の開発費を出し、製品化を図っていた。人工ひざ関節は可動部材が滑り動くことを繰り返すうちに摩耗し、摩耗が進むと層状剥離(はくり)と呼ばれる損壊に至る問題を抱えている。

 新しく製品化される人工ひざ関節は、材料の超高分子量ポリエチレン粉末に抗酸化剤であるビタミンEを混ぜて成型するのが特徴。超高分子量ポリエチレンだけからなる従来製品に比べ、摩耗量を3分の2に抑えることが疲労摩耗試験で確認された。

 高齢社会の到来で変形性関節症や関節リウマチ患者は増え続けており、人工ひざ関節を組み込む手術を受ける症例数は年間15万件にも上る。これにともない人工関節部材の損壊による置換手術の件数も増加していた。

 既に臨床治験で安全性の確認も済んでおり、長寿命型の人工ひざ関節により、手術適応の低年齢化や重症患者のQOL(生活の質)向上にも貢献できる、とナカシマメディカルは言っている。

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