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やっぱり生命誕生は深海熱水環境から?

2009.09.14

 生命誕生に必須とされる高濃度の水素が、初期地球の深海底で大量に発生していたことを海洋研究開発機構と東京工業大学の研究チームが実験で確認した。

 初期地球に豊富に存在していた二酸化炭素(CO2)と海底で発生した水素からメタン生成菌が生まれたのが生命の始まり、とする仮説を支持する有力な成果、と研究チームは言っている。

 深海探査により、熱水が噴出する海底でメタン菌を一次生産者とする生態系が見つかっている。メタン生成菌が生命の共通祖先という仮説は、初期地球に豊富に存在したと見られるコマチアイトと呼ばれる鉄・マグネシウムに富む火山岩が生み出す熱水環境が生命誕生の場となった、という考えに基づく。

 コマチアイトは今の地球では作られていない太古の岩石で、今見つかっているものは初期地球時代の組成とは異なっている。鈴木勝彦・海洋研究開発機構システム地球ラボ主任研究員らが行った実験は、まず、南アフリカで採取されたコマチアイトを加熱、乾燥した後、1,600度で再度溶融したものを急冷することで噴出した当時の新鮮なコマチアイトを再生した。それを粉末にして熱水実験装置に入れ、深海底の熱水活動条件である300度500気圧の下に2,800時間おき、その間に反応水を何度か採取して、水素濃度を測定した。

 その結果、コマチアイトと熱水とが反応し高濃度の水素が生成され、その濃度は地球初期のメタン生成菌を中心とする生態系を維持するのに十分な量であることが初めて確認できた。約40億年前の地球の海底にはコマチアイトが豊富にあり、そこで頻繁に起きていた熱水活動が高濃度の水素を供給、その環境下で誕生した初期生態系が地球全体の海洋底に広がり、持続的な初期生命進化をもたらしたとする仮説の強力な証拠だ、と研究チームは言っている。

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