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橋渡し研究・臨床研究強化へ健康研究推進戦略

2009.08.04

 ライフサイエンスの成果を速やかに社会に還元するための方策を盛り込んだ「健康研究推進戦略」が、発表された。

 昨年7月に発足した健康研究推進会議(科学技術政策担当相、文部科学相、厚生労働相、経済産業相と有識者で構成)がまとめたもので、これをもとに関係府省は必要とされた戦略実現のための予算要求や規制改革を進める。

 戦略が推進する健康研究とは、基礎研究成果を創薬や新たな治療法などにつなげる橋渡し研究や臨床研究。日本発の論文で臨床研究分野の主要医学誌に掲載された論文数が欧米に比べて少なく、また現在開発中のバイオ医薬品の開発品目数も少ないなど、日本の遅れが最近、顕著になっている領域だ。

 推進戦略は、橋渡し研究・臨床研究を推進するため、オールジャパンの研究拠点を設け、研究施設や人材などの研究資源の拡充・強化を図っている。広く研究者(機関)に開かれた拠点とするため、研究拠点のネットワーク化・IT化の推進に加え、国際共同研究を推進するための体制整備も行う。拠点機能を強化するための具体策としては、再生医療や医薬品・医療機器など、研究開発が特に期待されている研究開発分野に予算の重点化を図り、特色ある拠点として整備することを求めている。さらに、臨床研究に従事する専門家・事務(実務)担当者の確保と、臨床研究に用いる試験薬や細胞などの製造・調整について、研究費で手当てできる範囲の周知や薬事法の適用範囲の明確化することを挙げた。

 iPS(人工多能性幹)細胞の実用化をはじめとする再生医療の実現や、患者個々人に最もよく合うがん治療薬の開発、革新的診断・治療機器の開発など、10年程度先に目指すべき成果を示した上で、今後3年から5年程度をめどに早急に取り組んでいく具体策を示している。

 人材については、再生医療や医療機器の臨床研究のための医薬工が融合した領域の人材を育成するとともに、臨床研究に従事する専門家のキャリアパス確保の検討や研究機関と企業、研究機関と審査機関の間の人事交流の活性化が必要だとしている。

 また、疫学調査に超高速遺伝子解析技術などを活用した研究、得られた情報の統合的シミュレーション研究、シーズを探索するための研究や病気のメカニズムの研究、データベースの整備に向けた取り組み、医薬品・医療機器などの有効性や安全性の評価などを迅速に行う研究を推進する。

 研究成果を速やかに社会還元するため、バイオマーカーや分子イメージングなど最新技術の研究の推進、新たな創薬手法の開発など医薬品開発過程を迅速・効率化するための技術基盤の確立、医療機器開発に向けた技術基盤の確立、臨床研究における補償保険の活用、審査にあたる人員の増加なども盛り込まれている。

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