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鉄系超電導材の簡単な作製法開発

2009.06.10

 新しい超電導材として実用化の期待が大きい鉄系超電導材の簡単な作製法を物質・材料研究機構と科学技術振興機構の研究チームが開発した。

 鉄系超電導物質は、細野秀雄・東京工業大学フロンティア研究センター教授らが発見した。細野氏らの論文が昨年、世界で最も多く引用されるなど、銅酸化物に次ぐ第2の高温超電導体として大きな反響を呼んでいる。

 超電導を示す温度をいかに上げるかに関心が集まっており、今回の成果により、今後さらに多くの研究者がこの分野に参入し、応用研究が進むと期待される。

 高野義彦・物質・材料研究機構ナノフロンティア材料グループリーダーらが開発したのは、直径約6ミリの鉄製パイプにセレン-テルリウム化合物を詰め細長くした後、石英ガラス管に封入して熱処理を施すという簡単な方法だ。鉄とセレン-テルリウム化合物が化学反応し、鉄・セレン・テルリウムからなる超電導線材ができる。

 作製された線材の試験片で超伝導臨界電流密度を計った結果、1平方センチあたり12.5アンペアの臨界電流密度が確認された。この値は小さいが、鉄系超電導体を用いた線材で通電法により臨界電流密度が観測されたのはこれが始めてという。

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