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植物でもミトコンドリアが体内時計に関与

2009.04.08

 植物が1日24時間の周期を維持する体内時計システムに、ミトコンドリアが大きな役割を果たしていることを理化学研究所の研究チームが確認した。これまで哺(ほ)乳類や細菌類では分かっていたが、植物でもミトコンドリアがかかわっていることを突き止めたのは、初めて。有用な植物生産にも役立つ成果と、研究チームは言っている。

 理化学研究所植物科学研究センター・メタボローム基盤研究グループの斉藤和季グループディレクター、福島敦史・特別研究員、草野都・研究員、生産機能研究グループの榊原均グループディレクター、中道範人・基礎科学特別研究員、水野猛・名古屋大学大学院生命農学研究科教授らが用いた手法は、植物代謝物を一斉分析するという研究法。植物として遺伝子配列が解明されているモデル植物のシロイヌナズナを使った。

 体内時計システムに関与していると考えられる3つの遺伝子を欠損させたシロイヌナズナの代謝物を調べた結果、ミトコンドリアに特有な代謝物が劇的に増加していることが分かった。これは、光や時間の条件に関係がなく見られた現象で、体内時計関連の遺伝子がつくり出すタンパクが、ミトコンドリアの代謝にかかわる維持機能に関与していることを裏付ける結果だ。

 体内時計システムは、さまざまな生物に組み込まれており、高等植物でも光合成や植物の生長・発達などに関与し、重要な役割を担っていることが分かってきている。今回関与がはっきりしたミトコンドリアは、代謝にかかわる重要な細胞内小器官で、細胞死(アポトーシス)やカルシウム濃度の調節の、ATP(アデノシン三リン酸)の合成というエネルギー産生機能も持っている。

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