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アブラムシに細菌由来の遺伝子

2009.03.11

 
アブラムシの遺伝子の中に細菌から移った遺伝子があり、しかもアブラムシに欠かせない共生細菌の生存はこの遺伝子がコントロールしていることを理化学研究所などの研究チームが突き止めた。

 
生物が従来考えられた以上に柔軟性に富んでいることを示し、生物学、農学、医科学の基礎から応用にわたる幅広い分野に大きなインパクトを与える研究成果だ、と研究チームは言っている。

 
理化学研究所の中鉢淳・研究員と放送大学の二河成男・准教授によると、アブラムシは「ブフネラ」という共生細菌を1億年以上前から、「菌細胞」と呼ばれる特殊な細胞内に取り込み、お互いなくてはならない関係を築いている。中鉢研究員らは、菌細胞内にある遺伝子のうちに細菌に由来する遺伝子が2つあり、さらにそのうちの一つは、ブフネラと異なる細菌からアブラムシに取り込まれた遺伝子であることを突き止めた。つまり、アブラムシは共生細菌「ブフネラ」を、ブフネラとは全く別の細菌から取り込んだ遺伝子でコントロールしているというこれまで全く知られていない遺伝子の構造、機能、歴史を持っていることを明らかにした。

 
細菌から動物への遺伝子の移行(水平移動)は、原核生物と真核生物では遺伝子の発現機構が異なるため、ほとんどが「遺伝子」として機能することなく、壊れていく一方だと考えられていた。ミトコンドリアや葉緑体といったオルガネラは、10億年以上前に真核生物の共通祖先に侵入、共生を開始した細菌に由来すると考えられているが、ブフネラのような菌細胞内共生細菌はオルガネラより起源が新しく、1-2億年前に動物との共生を開始したとみられている。宿主細胞への依存度が高いという点でオルガネラに似ているが、オルガネラと異なり、これまで遺伝子を宿主のゲノムに移行させている証拠は得られていなかった。

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