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インド洋周辺で今年も異常気象発生か

2008.07.16

 世界各地に大雨、干ばつ、猛暑などを引き起こす原因になるといわれるインド洋ダイポールモード現象がことしも発生する兆しを海洋研究開発機構がつかみ、公表した。

 この現象は、インド洋東部(ジャワ島沖)では海水温が下降し、インド洋西部(アフリカ東方沖)では上昇する。通常5-6月に発生、10月ごろに最盛期になり、12月には減衰する。太平洋熱帯域のエルニーニョ現象とよく似ている。

 同機構が東部インド洋に設置したブイによる海水温観測の結果、5月下旬から低温化の傾向が現れ始めているのが分かった。また、人工衛星などで観測した海面水温と降水量の分布は、インド洋熱帯域の東部での低温傾向と降水量の減少傾向を示し、中部から西部にかけては逆に高温傾向と降水量の増加を示していた。

 インド洋ダイポールモード現象は、昨年、一昨年にも発生しており、いずれも海洋研究開発機構が発生予測に成功している。一昨年は、アフリカ東部沿岸諸国で洪水が多発し、百万人以上が避難せざるを得ない被害が出ており、オーストラリアでは一昨年、昨年と2年連続の干ばつが起きている。また、日本を含む東アジア域の猛暑の一因となっていることが示唆されている。

 通常、ダイポールモード現象が起きると翌年は海水温が下降した海域で上昇し、上昇した海域で下降する逆の現象が見られる。一昨年、昨年に続き3年連続でダイポールモード現象が発生するのは1950年代以降の観測史上初めて。この夏には、インドや東部アフリカで大雨、逆にインドネシア西部では少雨などが予測されることから、事前の対策が必要と海洋研究開発機構は言っている。

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