女性の学歴はトップグループにあるにもかかわらず就業率は低い—。経済協力開発機構(OECD)が2日発表した2008年版「雇用アウトルック」で、日本の男女雇用平等が先進国中でまだまだ遅れた状態にあることがあらためて明らかになった。
女性の就業率の低さについてOECDは「貴重な人材を著しく無駄にしていることになり、特に人口高齢化の進展という現状を考えると、早急に対策を講じる必要がある」と指摘している。
OECDの発表によると、25-54歳の日本女性の学歴は男性と変わらず、OECDの中でトップグループにある。2005年の高等教育履修率は、OECD平均が28.5%に対し、日本女性は42.5%に達する。日本より上はフィンランド、カナダの2カ国しかない。
しかし、この年齢層の女性の就業率を見ると、67.4%にとどまっており、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランドなどOECDのトップグループを約15ポイントも下回っている。日本の男性の就業率は約93%に上り、OECDの中でアイスランドとメキシコに次いで第3位だから、男女格差が余計目立つ。
女性就業率が低い理由についてOECDは、育児支援の不足や若年層の母親が働く財政上のインセンティブ不足に加え、労働市場における差別が大きく影響していることを挙げている。「日本では法律上、差別を立証する責任は原告にあるが、証拠はすべて被告である雇用主が押さえているのが普通。オーストラリア、カナダ、米国など多くのOECD諸国は、平等推進機関に強力な調査権限が付与されている」と、原告による差別の証拠集めを支援する策の不備など、男女差別を禁止する法整備の遅れを指摘している。
日本の男女雇用平等は、特に科学技術分野で大きな課題になっている。2006年にスタートした第3期科学技術基本計画でも「女性研究者支援」は重点施策にあげられており、文部科学省がモデル大学を選び予算をつけるなど、研究者支援が少しずつ進みつつある。